セッション情報 |
ワークショップ19(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
Stage IV胃癌に対する化学療法と手術の役割
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タイトル |
消W19-1:腹膜再発高危険群に対する手術に郭清は必要か
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演者 |
小寺 泰弘(名古屋大・消化器外科) |
共同演者 |
大橋 紀文(名古屋大・消化器外科), 藤原 道隆(名古屋大・消化器外科) |
抄録 |
【目的】腹膜播種を有する症例は一般的に胃切除術の適応外と考えられているが、微小転移にとどまる場合や化学療法が奏効し転移巣が消失した場合については、積極的に切除を試みる見解もある。1)CY1症例、2)腹膜転移に対するconversion症例を対象に、これらに原発巣の切除を行う場合の郭清の意義について考察した。【成績】1)CY1症例:CY1を唯一の日治癒因子とする症例に対しD2郭清後にS-1を投与する第二相試験で集積した47例の長期解析結果が得られ、5年生存率が26%、5年無再発生存率が21%と予想を上回る成績であった。リンパ節転移個数中央値は10個(0~41個)で、第13版によるpN因子の内訳はpN0 5例、pN1 13例、pN2 21例、pN3 6例であり、高度のリンパ節転移を伴う症例が多かった。これらの症例の再発形式は、腹膜27例、リンパ節4例、肝4例、局所2例、その他2例で、D2郭清とS-1によりリンパ節再発は抑えられている印象であった。2)腹膜転移に対するconversion症例:腹膜播種のため切除不能と判断した胃癌に対して化学療法後にconversion surgeryに至った症例は5例あり、いずれも化学療法は10カ月以上行われていた。S-1/CDDPではconversionの頻度は低いが、paclitaxel IPを含む東大レジメン(S-1/paclitaxel腹腔内投与/paclitaxel経静脈投与)では2例中2例で審査腹腔鏡でCY0, P0が確認され、conversionに至っている。ただし、原発巣への効果はS-1/CDDPを行った3例ではすべてGrade 2、東大レジメンではGrade 0とGrade 1aが各1例。リンパ節転移は、S-1/CDDPの2例でbulkyなN3が消失、pN0となっていたが、東大レジメンでは転移リンパ節の比率が高かった。長期予後については今後の検討を待つが、東大レジメンは高率に腹膜転移を制御する代わりに原発巣、リンパ節への効果は限られており、conversionの場合にもリンパ節郭清が要求される。【結論】腹膜再発高危険群であっても、胃切除に踏み切る以上、通常の進行胃癌に準じた郭清が望ましい。 |
索引用語 |
胃癌, Stage IV |