セッション情報 |
ワークショップ19(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
Stage IV胃癌に対する化学療法と手術の役割
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タイトル |
外W19-2:胃癌腹膜播種に対する腹腔内化学療法後の手術適応の判定における腹腔洗浄液中CEA mRNA定量の意義
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演者 |
山口 博紀(東京大・腫瘍外科) |
共同演者 |
北山 丈二(東京大・腫瘍外科), 渡邉 聡明(東京大・腫瘍外科) |
抄録 |
【目的】胃癌腹膜播種に対しS-1+Paclitaxel経静脈・腹腔内併用投与を行い,奏効例に対し胃切除を施行し比較的良好な成績を報告してきた。今回、腹腔洗浄液中のCEA mRNAを定量的に測定し、化学療法後の手術適応判定における意義を検討した。【対象】’09年7月から’11年6月までに初発P1胃癌に対し腹腔内化学療法を開始し、腹腔洗浄液中CEA-mRNAの定量ができた53例。【方法】腹腔内化学療法を施行中、腹腔洗浄細胞診が陰性化し、画像上非治癒因子を認めず、審査腹腔鏡にて腹膜播種に対する奏効が確認された症例を外科切除の適応とした。審査腹腔鏡時およびDay1に腹腔ポートより腹腔洗浄液を採取し、TRC法によりCEAとPBGDのmRNA値を定量しCEA mRNA/PBGD mRNA×104によりCEA-mRNA Index (CmRI)を求めた。【結果】53例中30例に胃切除を行なった。手術までに平均5.8コースの化学療法を施行した。手術例の1年生存率83% 2年生存率60%に対し、非手術例の1年生存率は35% 2年生存率0%であった。手術例と非手術例の治療開始前のCmRI中央値はそれぞれ15368 (145-398179), 36469 (122-1537645)であり非手術例が高い傾向にあった(p=0.14)。化学療法3コース開始時はそれぞれ25 (0-10286), 2634 (23-944252)であり、手術例が有意に低値であった(p<0.001)。また手術例の中で、術後1年以上生存した13例のCmRI中央値は21 (0-3786)で、術後1年以内に死亡した10例の567 (0-10286)と比べ有意に低値を示した(p<0.05)。この10例中CmRIが20未満であった3例の死因は髄膜播種、傍大動脈リンパ節転移、癌性リンパ管症で明らかな腹膜播種再発は認めなかった。【結論】腹腔内化学療法の開始に伴いCmRIが高度に低下した症例においては、腹膜以外に転移した場合を除き、胃切除後も比較的長期の生存期間が得られた。腹腔洗浄液中のCEA-mRNA定量値は化学療法の播種病変に対する制御性を良く反映し、Adjuvantとしての胃切除の適応を判定する上で有用な指標となる可能性が示唆された。 |
索引用語 |
胃癌腹膜播種, 腹腔内化学療法 |