セッション情報 ワークショップ19(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

Stage IV胃癌に対する化学療法と手術の役割

タイトル 外W19-3:

StageIV進行胃癌に対する治療戦略ー腹膜播種陽性胃癌に対する外科的切除の意義は?

演者 徳永 正則(静岡がんセンター・胃外科)
共同演者 坂東 悦郎(静岡がんセンター・胃外科), 寺島 雅典(静岡がんセンター・胃外科)
抄録 【はじめに】腹膜転移陽性胃癌に対しては、治療成績向上を目指して原発巣切除が行われることもあり、その意義に関する多施設共同試験も日本臨床腫瘍研究グループで進行中である(JCOG0705)。腹膜転移を単独の非治癒因子として有する腹膜転移陽性胃癌患者における、原発巣切除の意義を明らかにすることを目的として以下の検討を行った。【対象および方法】2002年9月から2008年12月までに当院にて外科的切除もしくは化学療法を行った、前治療歴のない腹膜転移陽性胃癌287例中、腹膜転移・洗浄細胞診陽性以外に非治癒因子を有さない148例(男女比90:58、平均年齢63歳)を対象とした。臨床病理学的背景、生存期間を検討し、Cox比例ハザードモデルを用いて独立予後予測因子の抽出を行った。【結果】腹膜播種陽性例の背景因子としては未分化型(112例; 76%)、4型胃癌(122例; 82%)の頻度が高く、生存期間中央値(MST)は13カ月であった。原発巣切除が82例(55%)で行われ、原発巣切除に引き続き化学療法が55例に行われた。原発巣切除の有無でMSTに差はみられなかった(13ヶ月 vs 12ヶ月, P=0.410)が、化学療法施行群では非施行群と比較してMSTが延長していた(14ヶ月 vs 7ヶ月, P=0.048)。多変量解析では、原発巣切除の有無は独立予後予測因子として選択されず(P=0.618)、化学療法施行の有無(P=0.021)、治療前PS(P<0.001)、および肉眼型(P=0.009)が選択された。【考察】他に非治癒因子を有さない腹膜転移陽性進行胃癌に対する原発巣切除の意義は少ないと考えられる。切迫症状等により切除が必要な症例でも、生存率向上のために早期の化学療法導入が可能となる術式を選択すべきである。
索引用語 腹膜播種, 胃癌