セッション情報 ワークショップ19(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

Stage IV胃癌に対する化学療法と手術の役割

タイトル 外W19-5:

cStageIV胃癌に対する化学療法と手術の役割

演者 西川 和宏(大阪府立急性期・総合医療センター・外科)
共同演者 岩瀬 和裕(大阪府立急性期・総合医療センター・外科), 川田 純司(大阪府立急性期・総合医療センター・外科)
抄録 【緒言】化学療法が中心となるStage IV胃癌における胃切除術の臨床的意義を考えたい。【対象と方法】対象は当センターでTS-1導入(2000年)以降でTrastuzumab導入(2011年7月)までのStage IV胃癌330例。非治癒因子は1因子155例、多因子175例。1因子のみの部位別では、CY陽性(CY群) 37例、腹膜 (P群) 67例、リンパ節(N群) 38例、肝(H群) 12例、副腎 1例。胃切除は160例に施行し、うち転移部合併切除は14例(D2+α郭清12例、肝合切1例、副腎合切1例)に施行。生存成績はLog-rank testにて検定し、Cox比例ハザードモデルを用いてハザードを算出した。【結果】胃切除の有無別の成績は、1因子(785日,79%) (356日,48%)(p<0.001, HR 0.368)、多因子(359日,51%) (347日,48%) (p=0.7526, HR 0.944)。1因子の部位別では、P群(785日,82%) (272日,39%) (p<0.001, HR 0.279)、N群(754日,85%) (282日,50%) (p=0.0143, HR 0.358)、H群(337日,53%) (457日,100%) (p=0.1876)。CY群では(856日,80%)で、35/37例に胃切除を施行。転移部合併切除にて根治度Bが得られた症例は他の1因子胃切除症例に比し有意に予後良好であった (-日,100%) (707日,76%)(p=0.0146, HR 0.260)。化学療法開始後手術症例は15例で、手術理由は、穿孔2例、狭窄3例、NAC予定2例、化療奏功後8例。化療開始後手術までの期間は中央値200日(23-700)。緊急手術や姑息手術となった7例はD0で、D1、D2郭清は1例と7例。生存成績は(787日,80%)であった。最近奏功確認後には審査腹腔鏡を実施し、手術症例の選定を明確に行うようにしている。化療のレジメンは基本的にはS-1/CDDPであるが、高齢者や腹水症例ではS-1単剤を施行。術後化学療法は、組織学的効果があるようなら術前と同レジメンを継続している。【結語】非治癒因子が単因子である場合、Stage IV 胃癌に対する外科切除の意義があるように思われ、治療戦略に組み入れるべきである。
索引用語 胃癌, 化学療法