セッション情報 ワークショップ19(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)

Stage IV胃癌に対する化学療法と手術の役割

タイトル 外W19-6:

予後からみたStageIV胃癌に対する外科的切除の適応

演者 山口 和也(岐阜大大学院・腫瘍外科学)
共同演者
抄録 【目的】StageIV胃癌に対する標準治療は化学療法であるが、充分な抗腫瘍効果に見合った予後への効果は満足できるものとはいえない。今後、3剤併用療法、分子標的治療薬の併用、外科的切除が重要な役割を担うと考えている。とくにR0手術に近い根治度を得ることがvolume reduction surgeryとしての効果を最大限に発揮できると考え、積極的に1次治療奏効中の胃切除術を行ってきた。個別化治療の選択肢として、外科的切除の効果が最も得られる条件を模索する必要があり、retrospectiveに当科の症例を検討した。【対象】2004年から2012年1月までのStageIV胃癌は関連施設も含めて121例で、外科的切除を行った58例について検討した。【結果】(1)1次治療のレジメンは、S1+Docetaxel、S1+CDDP、DCSであり、それぞれ52例、66例、3例であった。そのうち切除例はそれぞれ42例、13例、3例であった。(2)全体のMSTは 14ヶ月であり、切除例は30.0ヶ月で非切除例に対して有意な生存期間の延長を認めた。抗腫瘍効果別のSD以上、PR以上の検討においても、切除例の生存期間が有意に延長された。(3) 切除例の検討では、R0手術症例のMSTは41.8カ月、R1-2手術症例のMSTは16.5ヶ月で有意にR0手術症例の予後は改善されていた。(4) 非治癒因子別の検討では、N因子において傾向はみられないものの、P0、H1症例で生存期間がやや良好な傾向がみられた。(5)PFSの検討では、手術によりその有意な延長がはかられていた。また、2次治療導入率は高く、手術侵襲がその後の治療に影響していないことが示唆された。【結語】StageIV胃癌に対する化学療法後の外科治療は、腹膜播種症例に効果を発揮することは困難であるが、肝転移症例おいて予後延長に貢献できる可能性が示唆された。
索引用語 StageIV胃癌, 手術