セッション情報 |
ワークショップ19(消化器外科学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会合同)
Stage IV胃癌に対する化学療法と手術の役割
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タイトル |
外W19-9:Stage IV胃癌に対する化学療法と手術の役割
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演者 |
谷口 清章(東京女子医大・消化器外科) |
共同演者 |
笹川 剛(東京女子医大・消化器外科), 武市 智志(東京女子医大・消化器外科) |
抄録 |
(はじめに)これまで、Stage IV胃癌に対する原発巣切除は比較的積極的に行われてきたが、その外科治療成績は極めて不良であった。近年S-1を中心とした新規抗癌剤が登場し治療成績の向上が期待できるようになった。当院では治療の中心である抗癌剤の効果を向上させるのため、外科的治療をバランスよく組み合わせる必要があると考え原発巣の状態、転移形式により手術時期を分け治療をおこなっている。そこで今回当院で行っている治療戦略を検証し、外科治療の有用性について考察する。(治療戦略)原病巣に多量の出血あるいは消化管狭窄症状のない症例を随伴症状なし群、有するものを随伴症状あり群に分け、以下の方針で治療を行った。1随伴症状なし群では、S-1を中心とした化学療法を施行し根治切除可能となった場合手術を施行。2随伴症状なし群のうち化学療法中、随伴症状を来した症例に対して姑息的手術を施行。3随伴症状あり群では、最低限の侵襲で行える手術により出血源の除去、消化管狭窄の回避を行い、機械的に摂食が可能な状況下でS-1を中心とした抗癌剤を投与。4両群のうち原発巣、肝転移巣が根治切除可能なものは積極的に切除。(対象と方法)2003年1月から20010年4月に当院でおこなわれた胃癌患者に対する緩和的手術症例93例を対象に術後化学療法、生存期間などの項目を後ろ向きに検討し統計学的解析をおこなった。(結果)1随伴症状なし群38例に化学療法を行い根治切除可能となった症例を3例認めた。2随伴症状なし群化学療法中を随伴症状を来し姑息的手術を行った症例は11例だった。3原病巣が摂食不能または腫瘍出血を伴った35症例に姑息的切除を施行、術後化学療法が22例(62.8%)に可能となり予後の延長を認めた。4両群のうち原発巣、肝転移巣が根治切除可能だった症例は7例で、5生率は51.4%だった。(まとめ)Stage IV胃癌に対し手術療法と化学療法をバランスよく組み合わせることで、生存期間を延長させることが可能と考える |
索引用語 |
胃癌, stageIV |