セッション情報 ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

患者にやさしいERCPの工夫

タイトル 内W20-1:

やさしいERCPのための後膵炎発症率に関する検査時間と造影剤の量の解析

演者 明石 隆吉(熊本地域医療センター・ヘルスケアセンター)
共同演者 清住 雄昭(熊本地域医療センター・内科), 中原 和之(熊本地域医療センター・内科)
抄録 【目的】ERCP関連偶発症のなかで、後膵炎(PEP)は頻度が高く重症例、死亡例も存在する。今回、自検例をもとに、検査時間と造影剤の量とPEP発症の関与を統計学的に解析することで、PEP発症の予防策を検討した。【方法】対象は2008年9月~2010年3月に施行したERCP関連手技897例。検討項目は1)PEPの頻度および重症度2)手技因子として検査時間と造影剤の量の関連について統計的解析を行った。膵炎の診断と重症度は厚生労働省の基準によった。【成績】PEPの発症率は3.6%(32/897)であった。重症度は軽症25例、中等症3例、重症4例で、死亡例はなかった。使用した造影剤の量は平均8.93±5.76cc (中央値7cc)、検査時間は平均値17.44±12.50分(中央値15分)であった。ロジスティック回帰の結果では、造影剤の量:p=0.0196、検査時間:p<0.0001であった。ここで、造影剤の量と検査時間の2因子のPEP発症に対する関与を調べると、ピアソンの相関係数0.46と正の相関を認めたが、さらに、造影剤の量と検査時間の両方をロジスティックモデルに含めると造影剤の量:p=0.6932、検査時間:p=0.0001であり検査時間にのみ有意差を認めた。検査時間15分以上と15分未満で膵炎の発症率を検討すると、15分以上で4.95%(25/505)と15分未満1.78%(7/392)と有意差を認めた(p<0.05)。ROC曲線より、検査時間15分以上により膵炎が発症する予測確率のカットオフ値を求めると3%(感度65.6%、特異度65%)であった。PEPの発症率を観察期間で分けて検討すると、2008年9月から2009年8月まででは4.8%(25/526)、検査時間に注意を心掛けるようになった2009年9月から2010年3月まででは1.9%(7/371)であり発症率発症率は有意に減少した(p<0.05)。【結論】やさしいERCPのためには検査時間15分以内に留意することが重要である。
索引用語 ERCP, 検査時間