セッション情報 ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

患者にやさしいERCPの工夫

タイトル 内W20-3:

ERCP関連手技施行時における高齢者に対する塩酸ペチジン及びプロポフォール併用静脈麻酔法の安全性

演者 森川 宗一郎(京都第二赤十字病院・消化器科)
共同演者 真田 香澄(京都第二赤十字病院・消化器科), 安田 健治朗(京都第二赤十字病院・消化器科)
抄録 【目的】ERCP関連手技施行時における高齢者に対する塩酸ペチジン(Mep)及びプロポフォール(Pro)併用静脈麻酔法の安全性をレトロスペクティブに検討する。【対象】2010年1月から2011年12月までに当科でERCP関連手技を施行した1467例のうち、Mep及びPro併用静脈麻酔法を使用した447例(平均年齢70.7歳(16-97))を対象とした。【方法】Mep17.5~35mg、Pro20~40mgをボーラス投与し麻酔の導入を行った後Pro1~4mg/kg/時を持続投与し、鎮静が不十分な場合は適宜追加投与した。手技開始前から終了時までの血圧、脈拍、経皮的酸素飽和度及び各薬剤の総投与量、手技時間を測定し記録した。また対象症例を75歳以上の高齢者群(253例)と75歳未満の非高齢者群(194例)に分け、各測定値をt検定を用いて比較検討した。さらに低血圧(拡張期血圧<90mmHg)、低酸素血症(SpO2<90%)、徐脈(脈拍<50bpm)発症の有無についてもχ二乗検定を用いて比較検討した。【成績】全例で重篤な合併症は認めなかった。術中の経皮的酸素飽和度、脈拍の最低値は高齢者群で有意に低くかった(95.2% VS 96.2% / p=0.02、69.8bpm VS 77.2bpn / p<0.01)。低血圧、低酸素血症、徐脈はそれぞれ高齢者群で28例(11.1%)、27例(10.7%)11例(4.3%)、非高齢者群で33例(17.0%)、17例(8.8%)、9例(4.6%)に認められたがいずれも酸素投与等にて対処可能であった。高齢者群では低酸素血症の発症が有意に多く(p=0.01)、Proの投与量は有意に少量であった(4.44 mg/kg/時 VS 5.43 mg/kg/時 / p<0.01)。【結論】ERCP関連手技施行時における高齢者に対するMep及びPro併用静脈麻酔法は非高齢者と比べ低酸素血症を来しやすいが、重篤な合併症は認めず厳重なモニター管理下に施行すれば安全な麻酔法と考えられた。
索引用語 ERCP, プロポフォール