セッション情報 ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

患者にやさしいERCPの工夫

タイトル 内W20-6:

患者にやさしいERCPの工夫:新型カテーテルとスコープを用いたカニュレーションストラテジー

演者 今津 博雄(東京慈恵会医大・内視鏡科)
共同演者 金澤 慶典(東京慈恵会医大・内視鏡科), 田尻 久雄(東京慈恵会医大・消化器・肝臓内科)
抄録 【目的】当院では造影ガイドカニュレーション(contrast-guided cannulation: CGC)法を基本としてERCPを行っている。今回、ERCP後膵炎(PEP)予防を目的に当科で開発中の新型カテーテルと十二指腸スコープを用いたCGC法を中心とした胆管カニュレーションストラテジーの成績を示し、手技を動画で供覧する。【方法】当科におけるERCP1230例の検討では、1回以上の膵管造影がPEPの有意な危険因子であった。このため不必要な膵管造影を減らし、胆管カニュレーションを促進する目的でOffset-tip papillotome(OTパピロトーム)およびMultibending十二指腸スコープ(M-Dスコープ)の開発を行い、OTパピロトームによる不必要な膵管造影の有意な減少(Minim Invasive Ther Allied Technol 2011)、B-I症例によるM-Dスコープの有用性 (Endoscopy 2012)を報告した。胆管カニュレーションストラテジーとして、標準カニューレによるCGC法を10分施行後も胆管深部挿管ができない場合は、OTパピロトーム使用(適宜、膵管GW法、WGC法を併用)、プレカット法を行った。【成績】平成23年1月より12月までの胆管挿管目的でERCPが行われたNative papilla 373例中、胆管深部挿管に成功したのはCGC法のみ358例(95.9%)、パピロトーム使用7例、膵管GW法に移行4例、WGC法2例、プレカット法2例であり、通常スコープからM-Dスコープに変更し、カニュレーションを行ったのは3例であった。胆管深部挿管ができなかったのは2例であり、オーバーオールの胆管カニュレーション成功率は99.5%(371/373)であった。【結論】ほとんどの症例は通常スコープとCGC法で、短時間での胆管深部挿管が可能である。OTパピロトームやM-Dスコープは困難例に有用であり、B-I症例やESTを前提とした症例では、ERCP first-lineのデバイスとして用いることも可能である。これらのデバイスを組み込んだ胆管カニュレーションストラテジーはPEP予防の観点から有用であると思われる。
索引用語 ERCP, カニュレーション