セッション情報 |
ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)
患者にやさしいERCPの工夫
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タイトル |
内W20-8:Wire-guided cannualtion(WGC)により胆管挿管率の向上とERCP後膵炎(PEP)の合併の低下は得られるのか?
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演者 |
河上 洋(Japan Bile Duct Cannulation Study Group) |
共同演者 |
真口 宏介(Japan Bile Duct Cannulation Study Group), 向井 強(Japan Bile Duct Cannulation Study Group) |
抄録 |
【背景】WGCはmeta-analysisによって,胆管挿管が高率に得られ,PEPの発症が低率であると報告されている.しかし,これらの報告の大部分は後方視野角5度の十二指腸内視鏡を用いたsingle center/endoscopistによる結果である.【目的】本邦で汎用されている後方視野角15度の十二指腸内視鏡を用い,胆管挿管率や合併症などを明らかにすること.【方法】十二指腸乳頭部未処置例を対象とした.使用処置具はguide-wire(GW)は0.035 inch straight type(Jagwire; Boston Scientific社製),sphincterotomeはCleverCut3V(KD-V411M-0720; Olympus社製)とした.2 by 2 multi-factorial designによるRCTにより,ERCP catheter+造影剤 (C群),ERCP catheter+GW(C+GW群),sphincterotome+造影剤(S群),sphincterotome+GW(S+GW 群)の4群に無作為に割付けた.検討項目は,GW群と非GW群間における,1)胆管挿管率(10分間以内),2)胆管挿管に要した時間,3)胆管挿管に要したX線透視時間,4)合併症,5)4群間における検討,6)その他,とした.【成績】C,C+GW,S,S+GW群は各々101,102,100,97例に割付けられた.患者背景は4群間に差はみられなかった.1)GW群(C+GW,S+GW)は非GW群(C,S)と比較して,胆管挿管率に差は認められなかった(70.6 vs. 70.4%).2)GW群は非GW群と比較して短時間であった(121.5 vs. 178秒, p<0.036).3)GW群が非GW群より短時間であった(15 vs. 36秒, p<0.0004).4)PEPや高アミラーゼ血症は4群間に明らかな差はみられなかった.5)S 群の透視時間(62.7秒)がC+GW(38.7秒),S+GW 群(34.1秒)と比較して長時間であった(p<0.05)が,他の項目には差はみられなかった.6)最終胆管挿管率,precut施行率に4群間に差は認められなかった.【結論】後方視野角15度の十二指腸内視鏡の使用下かつ多施設・複数の内視鏡医の条件下では,WGCによる胆管挿管率の向上とPEP合併率の低下は認められなかった.しかし,胆管挿管に要する時間とX線透視時間が短時間であったことは,WGCの利点であった. |
索引用語 |
Wire-guided cannulation, 胆管挿管 |