セッション情報 |
ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)
患者にやさしいERCPの工夫
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タイトル |
内W20-9:胆管挿管困難例を安全に克服するための手技の工夫
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演者 |
伊藤 啓(仙台市医療センター仙台オープン病院・消化器内科) |
共同演者 |
藤田 直孝(仙台市医療センター仙台オープン病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景と目的】 近年、胆管挿管困難例に対する膵管ガイドワイヤー留置法(P-GW法)や、ガイドワイヤーを用いて挿管を行なうWire-guided cannulation法とを組み合わせたDouble guidewire法(DG法)に関する報告が増加しており、その有用性と安全性について検討した。【対象と方法】2004年12月から2011年11月までに胆管挿管困難でP-GW法 を行った134例を対象とした。P-GW法を用いても挿管困難な場合にはDG法もしくはprecutを行った。膵炎予防を目的に膵管ステント(5Fr片pig tail型)留置を全例で試みた。胆管の挿管率およびERCP後膵炎(PEP)の発症率について検討した。PEPの定義はconsensus criteriaに準じた。【結果】 P-GW法での挿管率は72%(97例)であった。挿管不成功の10例は他の画像診断法で代用した。他の27例中18例にDG法を行い、そのうち14例(78%)で挿管に成功した。DG法で不成功であった4例を含む11例でprecutを施行し5例(45%)で同日挿管が可能であった。precutで不成功の4例を含む6例では再度のERCPで挿管に成功した。 precutで不成功の2例ではEUS下胆道ドレナージを施行した。PEPは9%(12例:軽症8例、中等症3例、重症1例)に発症した。P-GW法、DG法、precutの膵炎発症率はそれぞれ8%(8例:軽症4例、中等症3例、重症1例)、6%(軽症1例)、0%であった。予防的膵管ステントは85%(114例)に留置成功した。留置不成功例のPEP発症率は、成功例に比較し有意に高い結果であった(30% vs. 5%, OR 7.7, 95% CI 2.2-27)。PEPの重症度は留置不成功例では軽症4例、中等症1例で、留置成功例では軽症4例、中等症2例、重症1例であり両群間に差はなかった。【結論】 胆管挿管困難例に対するP-GW法は、比較的高い挿管率から有用な手技と考える。P-GW法が不成功な場合には、DG法やprecutが有用である。PEP発症率を低下させるため、確実に膵管ステントを留置することが重要である。 |
索引用語 |
ERCP, 膵炎 |