セッション情報 ワークショップ20(消化器内視鏡学会・消化器病学会合同)

患者にやさしいERCPの工夫

タイトル 内W20-10:

Endoscopical papillary large balloon dilation(EPLBD)併用胆管結石採石術は患者負担を軽減させるか-mechanical lithotriptorによる内視鏡的胆管結石砕石術との比較-

演者 岩井 知久(北里大東病院・消化器内科)
共同演者 木田 光広(北里大東病院・消化器内科), 小泉 和三郎(北里大東病院・消化器内科)
抄録 【目的】巨大結石,積み上げ結石はEMLによる砕石術が一般的に行われている。EPLBDは処置が容易となるが治療成績についての検討は充分に行われていない。そこでEPLBD併用採石術とEMLによる砕石術について治療成績と合併症,治療費用について比較を行う。【方法】2007年以降に行ったEMLによる砕石術77例(EML群)とEPLBD併用採石術17例(EPLBD群)について治療回数,治療時間,入院期間,処置具の総費用,合併症の比較検討を行った。【成績】EST群は平均年齢は74.8歳,男性40例,女性37例,平均結石径15.8mm,平均胆管最大径16.0mm,平均結石数2.4個,傍乳頭憩室35例(45%)。EPLBD群は平均年齢76.3歳,男性10例,女性7例,平均結石径16.7mm,平均胆管最大径16.8mm,平均結石数3.6個,傍乳頭憩室9例(53%)で有意差は認めなかった。B2,RY再建術後腸管はEML群6例(8%),EPLBD群6例(35%)とEPLBD群で有意(p<0.01)に多かった。【成績】平均治療回数はEML群1.9回,EPLBD群1.5回でEPLBD群で有意(p<0.01)に少なかった。平均初回治療時間はEML群37.5分,EPLBD群34.2分で有意差は認めなかった。平均総治療時間はEML群59.5分,EPLBD群44.6分で有意差(p=0.05)はないがEPLBD群で短い傾向を認めた。平均入院期間はEML群11.4日,EPLBD群8.3日で有意(p=0.03)にEPLBD群で短かった。平均総費用はEML群124353円,EPLBD群138500円で有意差は認めなかった。合併症はEML群が膵炎3例,胆管炎2例,バスケット陥頓2例,胆嚢炎1例で、EPLBD群は乳頭部穿孔1例,出血1例,膵炎1例,胆嚢炎1例であった。【結論】患者背景が異なるがEPLBD群は治療回数が少なく,入院日数が短いことが示唆され,総治療時間も短い傾向がある。合併症についてはEPLBD群で1例に穿孔を認めており,保存的加療にて軽快が得られたもののバルーン径の選択や拡張方法に注意が必要である。EPLBD併用採石術は,短期治療成績において症例を限定すれば患者負担を軽減させる可能性がある。
索引用語 EPLBD, EML