セッション情報 ワークショップ21(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

細径内視鏡スコープの食道胃スクリーニング精度と偽陰性例の検討

タイトル 検W21-1:

細径内視鏡による胃がん検診の精度と偽陰性例の検討

演者 小林 正夫(京都第二赤十字病院・健診部)
共同演者 望月 直美(京都第二赤十字病院・健診部), 西大路 賢一(京都第二赤十字病院・健診部)
抄録 【目的】当院人間ドックの胃がん検診は80%程度が内視鏡検査を選択しており、2006年度からは、細径内視鏡を用いて行っている。今回、内視鏡検診にて発見された胃がんや偽陰性がんの検討から、細径スコープによる胃がん検診の精度について言及する。【対象と方法】対象は2006年4月から2011年3月までの5年間に当院人間ドックの胃内視鏡検査を受けたのべ22152人で、男女比は1.4:1、年齢は23歳から91歳(平均55.4歳)である。内視鏡検査は消化器科医師および健診部の消化器専門医が経口(または経鼻)にて実施した。検診発見がんの深達度や治療法、偽陰性がんなどについて検討した。【成績】細径内視鏡による発見胃がんは75例で、各年度のがん発見率は、2006年度0.31%、2007年度0.26%、2008年度0.47%、2009年度0.44%、2010年度0.23%と良好であった。発見がん75例の深達度は、早期がん66例、進行がん6例、不明3例であった。治療法は、内視鏡治療(EMRまたはESD)33例、手術(ESD後op.を含む)38例、不明4例で、内視鏡的治療率は44%であった。また、胃に関して内視鏡生検を施行した症例について検討したところ、生検施行率は2006年度3.4%、2007年度12.5%、2008年度12.2%、2009年度11.6%、2010年度10%でほぼ満足できる結果であり、生検中の胃がんの割合は、2006年度~2010年度まで、それぞれ9.0%、2.1%、3.9%、3.8%、2.3%であった。偽陰性例についての検討では、過去3年以内の内視鏡受診歴を有する症例を偽陰性例と定義すると、2006年度7例、2007年度8例、2008年度9例、2009年度10例、2010年度6例存在し、偽陰性率は53.3%(40/75)であった。【結論】細径内視鏡による胃がん検診成績は、がん発見率、早期がん率のいずれも満足できる成績であったが、内視鏡治療率は44%とやや不満足な結果であった。生検中の胃がんの割合を生検的中度とすると、的中度は2006年度を除き、2~4%弱でほぼ良好な結果であった。偽陰性例は53.3%と多く、今後は偽陰性例をできるだけ減らすための検討が重要であると考えられた。
索引用語 細径内視鏡, 胃がん