セッション情報 ワークショップ21(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

細径内視鏡スコープの食道胃スクリーニング精度と偽陰性例の検討

タイトル 内W21-3追:

人間ドック逐年受診者における経鼻内視鏡の胃癌発見精度と偽陰性例の検討

演者 押本 浩一(伊勢崎市民病院・内科)
共同演者 増尾 貴成(伊勢崎市民病院・内科), 荒井 泰道(伊勢崎市民病院・内科)
抄録 【目的】経鼻内視鏡の胃癌発見精度を検討するにあたり、当院人間ドックのような逐年受診率が高い群においての経口内視鏡と経鼻内視鏡の胃癌発見率の比較が有用であると考え、偽陰性例の検討と合わせて報告する。【対象】対象は平成15年1月から平成23年12月までの当院人間ドックにおける胃内視鏡受診者14037例(男性11105例、女性2932例、平均年齢56.0歳)である。【方法】1)経口内視鏡と経鼻内視鏡の胃癌発見率を比較検討した。2)経鼻内視鏡施行後3年以内に発見された胃癌を偽陰性例として、その特徴について検討した。なお平成23年2月までの初回経鼻内視鏡受診者2177例における内視鏡再検率は83.6%である。使用機種はオリンパス社製GIF-XP260N、GIF-Q260、GIF-XQ240であり、経鼻内視鏡の術者は主として内視鏡指導医・専門医が担当した。【成績】1)経口内視鏡での胃癌発見率は0.33%(25/7683例)、経鼻内視鏡では0.27%(17/6354例)であり、有意差は認められなかった。発見胃癌の深達度は経口ではm癌18例、sm癌5例、mp癌1例、ss癌1例(術後1年での再発例)であり、経鼻ではm癌11例、sm癌3例、mp癌1例、ss癌2例であった。2)経鼻内視鏡の偽陰性例は13例(偽陰性率56.5%)であり、1年後の発見が10例、2年後2例、3年後1例であった。病変型は陥凹型が9例と多く、m癌6例、sm癌4例、進行癌3例であった。光量不足や撮影不十分のため画像評価ができないものや病変見逃しと思われるものが7例あった。また病変は指摘できるものの癌の診断に至らなかった症例や病変の指摘が困難な症例が6例であった。【結論】経鼻内視鏡での胃癌発見率は経口内視鏡と同等でいずれも早期癌発見率が高かった。経鼻内視鏡における偽陰性例には光量不足や視野角の狭さを考慮した観察、画像の再確認により拾い上げが可能な病変が認められた。また組織型がsigの病変については予想以上に大きな病変を見逃している可能性を意識する必要があると思われた。
索引用語 経鼻内視鏡, 胃癌検診