セッション情報 ワークショップ21(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

細径内視鏡スコープの食道胃スクリーニング精度と偽陰性例の検討

タイトル 内W21-4:

極細径内視鏡と通常径内視鏡における偽陰性癌の比較検討

演者 青木 利佳(香川県立がん検診センター・消化器科)
共同演者 安田 貢(香川県立がん検診センター・消化器科), 尾立 磨琴(KKR高松病院・内科)
抄録 【目的】極細径および通常径内視鏡検査における偽陰性癌を検討し、両者の精度を比較する。【方法】2006年11月から2011年10までに診断した胃癌225例中、過去3年以内に内視鏡検査を施行していたものを偽陰性癌と定義し、偽陰性時のスコープ種別(極細径群・通常径群)にその臨床病理学的特徴を比較検討した。さらに偽陰性癌を当時の所見と写真の見直しによって5型に分類・比較した(I型:病変部の撮影なし、II型:病変部は撮影されているが病変の認識が不可能、III型:病変の認識は可能だが当時の検査医が認識できていない、IV型:検査医は認識しているが生検せず、V型:生検偽陰性)。【成績】偽陰性癌は60例(極細径群12例、通常径群48例)であった。平均年齢は極細径群で有意に若かった(極細径群56.0歳、通常径群66.1歳)が、性差はなかった。前回検査時から発見時までの期間は、極細径群で1年以内75.0%、1-2年前8.3%、2-3年前16.7%、通常径群で各々52.1%、37.5%、10.4%であり、極細径群で逐年受診例がやや多かった。早期癌比率や平均腫瘍径については差はなかったが、極細径群で10mm以下の病変が比較的多かった。占拠部位、組織型に明らかな差はなかった。偽陰性分類は、I、II、III、IV、V型の順に、通常径群で18.8%、37.5%、18.8%、18.8%、6.3%、極細径群25.0%、16.6%、25.0%、16.6%、16.6%で、通常径群でII型が比較的多かった。【考察】今回の検討では、極細径群と通常径群における偽陰性癌の特徴に明らかな差があるとは言えなかった。比較的苦痛の少ない極細径群では小病変の逐年発見例がやや多かったが、偽陰性時の状況を見直すと、撮影不十分、遠景で病変が認識困難、生検偽陰性等がみられた。個々の病変の特殊性を考慮する必要もあるが、これは内視鏡機種の問題というよりは、それを扱う医療者側の技量とシステムに関する問題と考えられた。【結語】胃全域の洗浄と十分な観察、および評価可能な写真撮影を心がければ、極細径内視鏡と通常径内視鏡の精度は同等であると言ってよい。
索引用語 極細径内視鏡, 偽陰性癌