セッション情報 ワークショップ21(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

細径内視鏡スコープの食道胃スクリーニング精度と偽陰性例の検討

タイトル 内W21-5:

上部消化管内視鏡検査のスコープの違いによる偽陰性の検討

演者 山里 哲郎(東京都がん検診センター・消化器内科)
共同演者 入口 陽介(東京都がん検診センター・消化器内科), 小田 丈二(東京都がん検診センター・消化器内科)
抄録 背景:細径内視鏡の画質は経口内視鏡に比べて劣っているものの、胃腫瘍発見率は経口と同等、あるいは劣るといった両方の報告がある。オリンパス社製XQ240とXP260Nは同じCCDを使用しておりXQ240は細径内視鏡であるXP260Nと同程度の画質と考えられる。目的:過去3年以内に内視鏡検査受検歴のある例の病変の特徴、及び前回検査時のスコープ間における発見時の深達度を比較すること。方法:当センターでは、一回の内視鏡検査につき約60~80枚撮影し、検査時間は8~10分程度で行っている。2009年1月から2011年12月の間、当センターで胃癌と診断された407例のうち過去3年以内に内視鏡受検歴があり最終病理診断の判明した79例を対象とした。病変発見の前回検査時に使用したスコープと発見胃癌の深達度を比較した。更に病変発見の1年前に内視鏡検査受検歴のある60例、2年前に内視鏡検査受検歴のある12例についてそれぞれ病変発見の前回検査時に使用したスコープと発見時の深達度の関係を比較した。結果:平均年齢74.7歳、性別(男性63例、女16例)であった。部位・壁在性ではM領域小弯17.7%(14/79)、U領域小弯11.4%(9/79)、L領域大弯11.4%(11.4%)の順に多い傾向であった。病変発見の前回検査時、XQ240を使用した群(A群)において深達度M,SM1病変は69.4%(25/36)であり、Q260以上の画質のスコープを使用した群(B群)にて深達度M,SM1の病変は86.1%(37/43)、p=0.04と有意差を認めた。2年前に内視鏡検査受検歴のある12例ではA群でM/SM1の病変は50.0%(3/6)、B群でM/SM1の病変は84.2%(5/6)であり、3年以内の時と同様の結果であった。しかし、1年以内に内視鏡検査受検歴のある60例ではA群のM,SM1の病変は87.5%(21/24)、B群のM,SM1病変は86.1%(31/36)、P=0.29と有意差を認めなかった。結語: ESD等の低侵襲治療を念頭においた場合、細径内視鏡は年1回の検査間隔で経口内視鏡と同等のレベルになると考えられた。
索引用語 胃がん検診, 偽陰性