セッション情報 |
ワークショップ21(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)
細径内視鏡スコープの食道胃スクリーニング精度と偽陰性例の検討
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タイトル |
内W21-6追:人間ドックにおける細径内視鏡の食道胃スクリーニングの精度と課題
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演者 |
小川 修(虎の門病院・消化器内科) |
共同演者 |
松井 啓(虎の門病院・消化器内科), 貝瀬 満(虎の門病院・消化器内科) |
抄録 |
【背景】当院人間ドック上部消化管内視鏡検診では通常径内視鏡(オリンパス社GIF Q260)を用いているが、受診者の希望に応じて細径内視鏡(GIF XP260N)も用いている。【目的】細径内視鏡の診断精度を通常径内視鏡と後ろ向きに比較し評価する。【方法】2008年3月から2012年1月の間に行われた上部消化管内視鏡検診27680例において、細径内視鏡(5503例)と通常径内視鏡(22177例)別に食道・胃悪性疾患の生検的中率(生検例のうち悪性病変や腫瘍と判定される病変のうち悪性疾患が疑われる病変の割合、と定義)・偽陰性率(18ケ月以内の次回検査で悪性疾患を認めた場合を偽陰性とし悪性疾患陽性例における偽陰性例の割合、と定義)を挙げ、それぞれの診断精度を検討した。【結果】食道において生検的中率は細径内視鏡では8.0%(2/25)、通常内視鏡では8.1%(16/198)であり、胃における生検的中率は細径内視鏡では4.2%(12/285)、通常内視鏡では3.7%(59/1601)であった。食道における偽陰性率は細径内視鏡では0%(0/2)、通常内視鏡では31.3%(5/16)であり、胃における偽陰性率は細径内視鏡では25.0%(3/12)、通常内視鏡では49.2%(29/59)であった。いずれの結果も細径内視鏡と通常内視鏡では有意差を認めなかった。細径内視鏡の胃病変における偽陰性例は3例という少ない症例ながらいずれも小弯病変であった。通常径内視鏡の胃病変における偽陰性例でも小弯病変がやや多い傾向にあった(11/29)。【考察】当院の人間ドック上部消化管内視鏡検診の大半は内視鏡学会専門医が行い、自動送水装置を用いて徹底した粘液除去やヨード・インジゴカルミンを用いた色素内視鏡を積極的に行っている。このような環境下では細径内視鏡と通常径内視鏡の診断精度に優位さはないと考えられた。両内視鏡で胃小弯の悪性疾患見逃しが多く、見逃しパターンに留意して内視鏡を行う必要があると思われた。 |
索引用語 |
細径内視鏡, スクリーニング |