セッション情報 ワークショップ24(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

消化器癌治療における分子標的薬の位置づけ

タイトル 外W24-5:

進行再発大腸癌に対する分子標的治療薬-市中病院の現状

演者 深澤 貴子(磐田市立総合病院・消化器外科)
共同演者 宇野 彰晋(磐田市立総合病院・消化器外科), 鈴木 昌八(磐田市立総合病院・消化器外科)
抄録 【目的】進行再発大腸癌の治療成績の向上は近年の化学療法の進歩によるところが大きいが,分子標的治療薬に特有の副作用管理が必須であり,最適な使用時期や併用レジメン,投与継続の指標などについては議論の残るところである.市中病院である当院での現状を報告する【方法】2008年1月から2012年3月までに分子標的治療薬を使用した進行再発大腸癌62例について診療情報録から遡及的に検討【結果】年齢は中央値65歳(39-83)男性37女性25.診断時病期はIV期45例(72.6%).II,III期症例では88.3%(15/17)で術後補助化学療法が施行されていた.分子標的治療薬の内訳はAvastin49例,Eurbitux24例,Panitumumab5例(重複あり). AvastinとEurbituxまたはPanitumumabの両方が投与できたのは13例(21.0%)であり,PD確認後も殺細胞薬レジメンを変更してAvastinの投与を継続し(BBP)結果的に全身状態不良となったため抗EGFR抗体薬投与が行われない症例が散見された.併用レジメンはAvastinではL-OHPレジメン先行が81.6%,Eurbitux,PanitumumabではCPT-11レジメン先行が84.6%であった.副作用はAvastinでGrade4の血栓症が2例発生し,いずれも中心静脈ポート挿入例であった.Grade3以上のAvastin特有の副作用は認めなかった.Eurbitux, Panitumumabではざ瘡様皮疹が80.7%にみられたがGrade3は1例であり,皮膚症状を理由に投与中止した症例はなかった.また経済的理由から投与中断,終了を余儀なくされた症例を2例経験した【考察】進行再発大腸癌に対する分子標的治療薬は専任の腫瘍内科医不在の市中病院においても比較的安全に管理可能であった.BBPから抗EGFR抗体薬投与への切り替えの時期については今後の検討が必要と思われる.また経済的理由から中断した症例を経験し,分子標的治療薬導入以前に経済的問題を明確にすることも重要であると考える
索引用語 進行再発大腸癌, 分子標的治療薬