セッション情報 |
ワークショップ24(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
消化器癌治療における分子標的薬の位置づけ
|
タイトル |
消W24-6:切除不能進行結腸直腸癌に対するセツキシマブ使用症例のレトロスペクティブ調査(HGCSG0901)-効果予測因子別の解析
|
演者 |
結城 敏志(北海道大病院・消化器内科) |
共同演者 |
小松 嘉人(北海道大病院・腫瘍センター), 坂本 直哉(北海道大大学院・消化器内科学) |
抄録 |
【背景】抗EGFR抗体薬であるセツキシマブ(Cmab)は、KRAS遺伝子変異を有する症例には有効性が得られず、一方、承認条件となっているEGFR発現は治療成績と相関性がないと報告されている。また、投与後は皮膚毒性が有効性を示す指標とされている。【対象と方法】Cmabの投与を行った症例を後向きに検討した多施設共同試験(HGCSG0901) 269例の内、三次治療以降の症例 252例を対象とし、KRAS遺伝子変異、EGFR発現の有無、皮膚毒性の程度毎にその有効性を比較検討した。【結果】KRAS遺伝子:野生型(W群)/変異型(M群):135/32例、EGFR:陽性/陰性:210/38例、皮膚毒性:Grade 0/1/2/3:31/50/128/43例 であった。有効性に関して、奏効率はW群 24.6%/M群 5.7%(p=0.017)、無増悪生存期間中央値はW群 4.5ヶ月/M群 2.1ヶ月(p<0.001)、生存期間中央値はW群 9.9ヶ月/M群 5.3ヶ月(p=0.005)といずれもW群で有意に良好な結果だった。皮膚毒性に関しても、全ての有効性指標にて程度と有効性に有意な相関を認めたものの、EGFR発現の有無では有効性に差は認めなかった。【結語】少数例ではあるが上記効果予測因子での治療効果解析を行った。KRAS 変異型の症例には有効性は期待できず、投与前のKRAS遺伝子検査の必要性が再認識できた。また、皮膚毒性は治療開始後の有効性指標として有用であった。現在、網羅的遺伝子解析技術を用いた抗EGFR 抗体薬治療効果予測バイオマーカーの探索研究(BREAC試験)が進行中であり、新たなる効果予測因子により、有効症例の更なる絞り込みが期待される。 |
索引用語 |
Cetuximab, 結腸直腸癌 |