セッション情報 ワークショップ24(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)

消化器癌治療における分子標的薬の位置づけ

タイトル 肝W24-9:

進行肝細胞癌に対するソラフェニブ投与後初期にみられる変化と治療成績との関係―画像上の阻血性変化と腫瘍マーカーの推移に着目して―

演者 葛谷 貞二(名古屋大・消化器内科)
共同演者 片野 義明(名古屋大・消化器内科), 後藤 秀実(名古屋大・消化器内科)
抄録 【目的】進行肝細胞癌(HCC)に対するソラフェニブ投与後初期(2週間以内)に認められる変化(画像上、腫瘍マーカー、臨床所見)に着目し、それらと治療成績との関連を検討した。【方法】ソラフェニブを導入した64例のうち、治療開始直前、2週間後、6週間後に造影CTおよび腫瘍マーカー(AFPとPIVKA-2)の測定を行った37例を対象とした。治療成績は6週間後、mRECIST基準にて判定した。2週間後および6週間後に画像上みられた阻血性変化(腫瘍濃染の消失や減弱)も評価した。【成績】平均年齢は66.1歳、HCCはStage3が18例、Stage4aが11例、Stage4bが8例で、ソラフェニブ開始量は800mgが19例、400mgが16例、200mgが2例であった。6週間後に判定可能であった30例の治療成績はPRが7例、SDが15例、PDが8例で、奏効率は23.3%、disease control rateは73.3%であった。治療開始時と比較した2週間後のAFP比はPD群が1.15に対し、PR+SD群が0.71と有意に低かった(p=0.039)。一方、PIVKA-2比はPD群が1.76、PR+SD群が1.62であり両群間に有意差はなかった(p=0.708)。2週間後の造影CTで阻血性変化が認められた症例は20例(66.7%)であった。阻血性変化が認められた症例はPD群が8例中3例(37.5%)に対し、PR+SD群は22例中17例(77.3%)であり有意に多かった(p=0.04)。2週間以内に38度以上の発熱が認められた17例中16例(94.1%)で、2週間後の造影CTにて阻血性変化が認められた。【結語】現在のところ、進行HCCに対するソラフェニブの治療効果予測に有用なバイオマーカーはない。今回の検討で投与後初期(2週間以内)のAFPの変化および阻血性変化は画像による抗腫瘍効果と関連しており、これらの変化は有用なソラフェニブの治療効果予測因子となる可能性が示唆された。
索引用語 肝細胞癌, ソラフェニブ