セッション情報 |
ワークショップ24(消化器外科学会・消化器病学会・肝臓学会合同)
消化器癌治療における分子標的薬の位置づけ
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タイトル |
消W24-11:膵発癌モデルマウスを用いたGemcitabineとErlotinib併用療法の効果とメカニズムの検討
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演者 |
宮林 弘至(東京大・消化器内科) |
共同演者 |
伊地知 秀明(東京大・消化器内科), 小池 和彦(東京大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】ヒトの切除不能膵癌に対する化学療法で第一選択のGemcitabine (GEM)とEGFR阻害剤Erlotinibの併用療法はGEM単独と比較して生存期間の有意な延長が認められたが、大腸癌でEGFR阻害剤無効の指標であるKras変異が90%以上に存在する膵癌でのErlotinibの効果の詳細は分かっていない。われわれは、ヒト膵癌のモデルとなる内因性Kras発現+Tgfbr2ノックアウトモデルを用いて、GEMとErlotinibの効果・メカニズムについて検討した。【方法】膵発癌モデルマウスに対し、GEM単独、GEM+Erlotinib併用投与を行い生存期間を比較した。生後7週で膵組織を回収してEGFR、リン酸化EGFR、リン酸化ERKなどの免疫染色を施行すると共にWestern blotやリン酸化受容体型チロシンキナーゼ(RTK)アレイを用いて解析し、GEMとErlotinibが受容体や細胞内のシグナルへ与える影響を検討し、作用機序の解明を試みた。【成績】平均生存日数は無治療群45日、GEM単剤が60日に対し、GEM+Erlotinib併用が74日と生存期間が大きく延長した。Western blotと免疫染色でGEM単独群ではリン酸化ERKの活性が見られ、Erlotinib併用投与群ではそれが抑制された。リン酸化RTKアレイでEGFR発現亢進のあるGEM群でErbB2の活性化を認め、Erlotinib併用でErbB2活性化が抑制され、GEM投与がEGFRとErbB2のheterodimerが形成を亢進させることを示した。またEGFRリガンドの分泌・発現を亢進させることがわかった。【結論】GEM単独投与に比較してErlotinib併用投与は、本膵癌モデルにおいて生存期間を大きく延長した。その作用機序としてGEM投与群でみられるEGFR/ErbB2とその下流のMAPKシグナルの活性化をErlotinibが抑制することが示された。本モデルはヒト膵癌の組織像をよく近似し、薬剤の作用機序の詳細な解析及び新規薬剤の効果の検討を実臨床と連動させていくことが有用と考えらえた。 |
索引用語 |
膵癌, エルロチニブ |