セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓(基礎) |
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タイトル | 消P-1:炎症性肝発癌と進展におけるM-CSFの関与について |
演者 | 原 倫生(山梨大・1外科) |
共同演者 | 河野 寛(山梨大・1外科), 土屋 雅人(山梨大・1外科), 古屋 信二(山梨大・1外科), 平山 和義(山梨大・1外科), 大菊 正人(山梨大・1外科), 孫 超(山梨大・1外科), 藤井 秀樹(山梨大・1外科) |
抄録 | 【目的】 M-CSFは血管新生を誘導し腫瘍の増殖に関連する。実際、ヒト肝細胞癌においてM-CSF発現と肝癌発症は正相関する。一方、マクロファージ(Mφ)にはM1型とM2型の亜種が存在し、M2Mφへの分化は、IL-4あるいはmacrophage colony stimulating factor(M-CSF)により誘導され、腫瘍の悪性度や進行度に関与する報告がある。そこで今回、肝発癌、進展とM-CSFの関連についてM-CSF欠損マウスを用いて検討した。 【方法】 検討I:M-CSF欠損マウス(op/op)とlittermateマウス(LT)を用い、生後14日目にジエチルニトロサミン(DEN)を腹腔内投与し肝発癌モデルを作製。投与後28週目に犠牲死させ、発癌率、腫瘍数、最大腫瘍径について検討。肝臓における活性化Mφ分布をF4/80免疫組織染色法で、血管新生についてはCD31免疫染色法で検討した。また肝臓におけるM2Mφの割合について、FACS法にて解析。さらに、肝臓でのCD163, IL-10 mRNA発現をreal-time RT-PCR法で検討した。 検討II:DEN投与後の急性期における肝臓への影響を検討する目的で、炎症性サイトカイン発現、肝細胞アポトーシス、肝細胞分裂、DNA損傷について検討した。 【結果】 検討I:LTと比較し、op/opでは発癌率、腫瘍数、最大腫瘍径のいずれにおいても有意に低下した。肝Mφの分布は、LTでは正常肝組織と腫瘍内部に認めるのに対して、op/opでは腫瘍内部とその辺縁部においてのみ認めた。DEN投与後の発癌マウスでは、LTにおいてM2Mφの増加を認め、CD163, IL-10 mRNA発現はLTと比較してop/opで有意に低下した。腫瘍内CD31陽性率もLTと比較してop/opで減少し、両群で血管新生に差を認めた。 検討II:DEN投与後急性期では、op/opで炎症性サイトカイン発現、DNA損傷は低下したが、アポトーシスはop/opで増加した。 【結論】 炎症性肝発癌モデルにおいて、M-CSFあるいはM-CSFにより誘導されるM2Mφが発癌の進展過程おいて強く関与していることが示唆された。 |
索引用語 | M-CSF, M2 macrophage |