セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(基礎)

タイトル 消P-3:

DNAメチル化の網羅的解析により同定された新規肝癌関連遺伝子

演者 志谷 真啓(札幌医大・1内科)
共同演者 鈴木 拓(札幌医大・分子生物学), 阿久津 典之(札幌医大・1内科), 高木 秀安(札幌医大・1内科), 佐々木 茂(札幌医大・1内科), 野島 正寛(札幌医大・公衆衛生学), 山本 博幸(札幌医大・1内科DELIMITER札幌医大附属がん研究所・分子病理病態学), 時野 隆至(札幌医大附属がん研究所・分子病理病態学), 平田 公一(札幌医大・1外科), 篠村 恭久(札幌医大・1内科)
抄録 【目的】肝癌のDNAメチル化をゲノムワイドに解析することで肝発癌の分子メカニズムを明らかにし、さらに臨床応用可能なバイオマーカーを同定することを目的とした。【方法】手術・生検より採取された肝癌組織、同一患者より採取された周辺非癌部組織、ならびに肝癌培養細胞10株からゲノムDNAを抽出し、Methylated CpG island amplification microarray法(以下、MCAマイクロアレイ)を用いて約6000遺伝子のCpGアイランドメチル化を解析した。同定された遺伝子のメチル化を、methylation-specific PCR(以下、MSP)およびバイサルファイトパイロシークエンス法により検証した。さらにLINE-1のメチル化をバイサルファイトパイロシークエンス法で解析することで、ゲノムワイドな低メチル化を検討した。【結果】MCAマイクロアレイの結果、メチル化が検出されたのは514遺伝子で、これら遺伝子から14遺伝子を抽出し、MSPによってメチル化を検証したところ、KLHL35, PAX5, PENK, SPDYAの4遺伝子が、肝癌細胞において高頻度にメチル化していることを見いだした。ROC曲線解析の結果、4遺伝子の高メチル化は肝癌組織と周辺非癌部とを高い感度・特異度をもって区別しうる事が示された。【考察】本研究では肝癌の新規バイオマーカーの同定を目指したため、4遺伝子の機能については不明な点が多く、機能およびメチル化の機能的意味については、今後さらに解析が必要である。【結語】肝癌において高頻度にメチル化する遺伝子として4遺伝子を同定した。さらに、LINE-1低メチル化が肝癌において一般的に見られる現象であることを明らかにした。これらの遺伝子メチル化とLINE-1低メチル化は癌特異性が高いことから、肝癌診断のバイオマーカーとして応用しうる可能性が示唆された。
索引用語 CpG Island, メチル化