セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(基礎)

タイトル 消P-4:

分岐鎖アミノ酸は肝および脂肪組織の炎症を改善し肥満関連肝腫瘍形成を抑制する

演者 寺倉 大志(岐阜大・消化器病態学)
共同演者 清水 雅仁(岐阜大・消化器病態学), 馬場 厚(岐阜大・消化器病態学), 大野 智彦(岐阜大・消化器病態学), 河内 隆宏(岐阜大・消化器病態学), 久保田 全哉(岐阜大・消化器病態学), 岩砂 淳平(岐阜大・消化器病態学), 白上 洋平(岐阜大・消化器病態学), 森脇 久隆(岐阜大・消化器病態学)
抄録 【目的】肥満に伴う代謝・分子異常は肝発癌に深く関与している。今回我々は、LOTUS試験において肥満を合併した非代償性肝硬変患者の肝発癌を抑制した分岐鎖アミノ酸(BCAA)が、肥満マウスに自然発症する肝前癌病変(foci of cellular alteration:FCA)を抑制するか検討した。【方法】肥満・2型糖尿病のモデルマウスであるdb/dbマウス(5週齢雄)に、3%BCAAまたは3%casein含有食を34週間投与し、FCAの抑制効果と肝細胞の増殖活性を検討した。肝臓および脂肪組織における肥満・炎症関連分子(IL-6、IL-1β、IL-18、adiponectin、PPARα、PPARγ、MCP-1)のmRNA発現を、RT-PCRで検討した。脂肪組織におけるマクロファージの浸潤を、F4/80の免疫染色を行い評価した。【結果】casein群(対象群)と比較し、BCAA投与群においてFCAの発生数は有意に減少し(casein群8.2±1.1個/cm2、BCAA群5.8±1.0個/cm2)、肝臓におけるPCNAおよびc-fos mRNAの発現は低下した。BCAA投与群の肝組織では、IL-6、IL-1β、IL-18 mRNAの発現抑制が認められた。casein群では脂肪組織にマクロファージの強い浸潤が認められたが、BCAAはこれを抑制するとともに脂肪細胞のサイズを縮小した。またBCAA投与群において、脂肪組織におけるadiponectin、PPARα、PPARγ mRNAの発現亢進とMCP-1 mRNAの発現抑制が認められた。【結論】BCAAは肥満・糖尿病マウスにおいて、肝および脂肪組織の炎症を改善することで、肥満関連肝腫瘍の発生を抑制した可能性が示唆された。
索引用語 BCAA, FCA