セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(基礎)

タイトル 消P-5:

LPS/Galn誘導マウス劇症肝炎モデルにおけるAPJ受容体の役割

演者 安崎 弘晃(横浜市立大・消化器内科)
共同演者 芝田 渉(横浜市立大・消化器内科), 前田 愼(横浜市立大・消化器内科)
抄録 【目的】近年、AngiotensinIIの受容体と約30%の相同生を有するAPJ受容体が肝臓疾患において注目されている。今回我々は、APJ受容体欠損マウスを用いて、LPS/GalN誘導マウス劇症肝炎を作成し、APJ受容体欠損マウスと野生型マウスとの差を比較・検討した。【方法】LPSおよびD-galactosamine投与によりマウス劇症肝炎を誘導した。刺激後の生存率の検定、刺激後1.5時間での血中TNFαの測定、刺激後5時間での血清ALTの測定、肝臓中のTNFαmRNA、caspase3活性の測定を行った。【成績】LPS/GalN刺激後1.5時間で血中TNFα濃度はAPJ受容体欠損マウスで有意に高く、刺激後5時間でのALTも76.8±16.58 vs 3408±3114.1 とAPJ受容体欠損マウスで有意に高かった。生存率もAPJ受容体欠損マウスで悪化した。また、肝臓内のcaspase3活性もAPJ受容体欠損マウスで有意に上昇しており、TNFαシグナルの下流であるリン酸化JNKの発現もAPJ受容体欠損マウスで増加していた。【結論】LPS/GalN誘導マウス劇症肝炎モデルはAPJ受容体マウスで悪化する結果となった。刺激1.5時間でのTNFα濃度がAPJ受容体欠損マウスにおいて上昇していたことから、APJシグナルがTNFαの分泌を負に制御しているのではないかと考えられた。しかし今回の検討ではどの細胞でのTNFαの分泌の制御にAPJシグナルが関与しているかは検討できておらず、今後も研究の進展が望まれる。
索引用語 APJ, 肝炎