セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(基礎)

タイトル 消P-6:

ICGクリアランスメーターによる肝切除術前の低侵襲肝機能評価

演者 宮田 陽一(都立墨東病院・外科)
共同演者 脊山 泰治(都立墨東病院・外科), 松田 真輝(都立墨東病院・外科), 古本 洋平(都立墨東病院・消化器内科), 村山 厳一(都立墨東病院・消化器内科), 浅野 徹(都立墨東病院・消化器内科), 忠願寺 義通(都立墨東病院・消化器内科), 志田 大(都立墨東病院・外科), 真栄城 剛(都立墨東病院・外科), 宮本 幸雄(都立墨東病院・外科), 井上 暁(都立墨東病院・外科), 梅北 信孝(都立墨東病院・外科)
抄録 【目的】ICG15分停滞率(ICG R15)による術前肝機能評価は、手術適応および許容肝切除容量の決定に重要な指標であり必要不可欠な検査である。従来の採血法は5分、10分、15分の3回の採血を行う必要があり、験者、被験者ともに負担の大きい検査であった。一方ICGクリアランスメーターは、酸素飽和度の様に被験者の指にチップを装着し吸光度によりICG血中消失率を連続的に測定し、採血することなく肝機能を評価することができ低侵襲な検査である。しかしICGクリアランスメーターによる肝機能評価は基礎研究での報告はされているが、臨床応用での報告はない。今回われわれはICGクリアランスメーターの肝切除術における安全性と臨床的有用性を検証した。
【方法】肝切除術前の患者に対して、ICGを0.5mg/kg静脈投与した後、従来の採血法とICGクリアランスメーターでのICG R15を測定し、それぞれの結果を比較検討した。またICGクリアランスメーターによるICG R15と肝切除術成績を検証しその安全性を検討した。
【成績】10人の肝切除予定患者に対して本試験を施行した。疾患は原発性肝癌7例(肝内胆管癌1例を含む)、転移性肝癌3例であった。ICGクリアランスメーターと、3点採血法でのICG R15の相関係数はr2=0.832であった。これらの差の平均値は2.25%(0.4%~5.7%)であり、二つの測定系でのICG R15の値にはほとんど差がなかった。ICG R15による肝切除術式選択は、採血法、クラランスメーター法のどちらの測定値を使用しても同じであった。肝切除術式は、葉切除以上4例、区域切除3例、亜区域切除3例であり、術後肝不全はなく、ICGクリアランスメーターを用いた場合の臨床的問題は指摘できなかった。
【結論】ICGクリアランスメーターによるICG R15測定結果は、従来の採血法によるものとよく相関しており、肝切除術前の低侵襲肝機能評価として標準化し得ることが示唆された。
索引用語 ICGクリアランスメーター, 肝切除