セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(基礎)

タイトル 消P-7:

肝硬変患者における肝切除後血小板由来セロトニンの影響

演者 皆川 昌広(新潟大医歯学総合病院・1外科)
共同演者 黒崎 功(新潟大医歯学総合病院・1外科), 高野 可赴(新潟大医歯学総合病院・1外科), 滝沢 一泰(新潟大医歯学総合病院・1外科), 森本 悠太(新潟大医歯学総合病院・1外科), 仲野 哲矢(新潟大医歯学総合病院・1外科), 畠山 勝義(新潟大医歯学総合病院・1外科)
抄録 【背景】セロトニンは神経伝達物質としてよく知られているが、セロトニンは血中ではそのほとんどが血小板内にあり、血小板がこのセロトニンの運搬役を担っていると考えられている.これまでの報告から、血小板由来セロトニンが肝再生に影響与えていることが動物実験にて証明された.こうした背景の中、肝硬変などの肝機能が低下した患者ではこうしたセロトニン代謝に関する報告はまだ少ない.今回,我々は肝切除患者において血漿中セロトニン値の周術期変化を計測し,その変化を計測し、肝硬変患者と正常患者との違いを比較検討してみた.【方法】当科にて肝切除を施行した正常肝群(NL群)10例および肝硬変群(LC群)5例の症例に関して血中のセロトニンを計測し、比較検討した.術前および術後1,3,7,14日目にEDTA採血を施行し,platelet-poor plasma(PPP)および溶血させたplatelet-rich plasma(PRP)中のセロトニンをELISAキットにて計測した.さらにPRP中の血小板数をcountし,血小板単位数でのセロトニン量を計測し、血小板内含有量を推量した.【結果】術前PPPセロトニン値は,(14.0 ±4.5 vs 10.2±4.8 ug/ml)で有意差はみられず、血小板外のセロトニン量に差は認められず、さらにPPP中セロトニン値には大きな変化は見られなかった.しかしながら、血小板内セロトニンの指標となるPRPセロトニン濃度は,正常肝群において,術後1から3日目の有意な低下(p<0.05)がみられた.さらに脾摘合併症例では,術後血漿中セロトニンレベルは低下していた.また、経口摂取の開始によってセロトニン値が高くなる傾向がみられてた.【考察】セロトニンはChromaffin細胞から血小板に補給されているといわれているが、肝硬変患者では血小板へのセロトニンの補給は正常に行われているが、なんらかの機序で血小板由来のセロトニン放出が抑制されている可能性が示唆された.経口摂取によって腸管からのセロトニン補給低下がセロトニン量の変化をもたらすと考えられた.
索引用語 肝再生, セロトニン