セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(B型肝炎)

タイトル 消P-8:

当院のHBVキャリア・B型慢性肝疾患患者におけるHBV genotypeの検討:宮城県・県南部の状況

演者 三浦 雅人(みやぎ県南中核病院・消化器科)
共同演者 藤坂 泰之(みやぎ県南中核病院・消化器科), 洞口 愛(みやぎ県南中核病院・消化器科), 阿曽沼 祥(みやぎ県南中核病院・消化器科), 梅村 賢(みやぎ県南中核病院・消化器科), 飯岡 佳彦(みやぎ県南中核病院・消化器科), 大沼 勝(みやぎ県南中核病院・消化器科)
抄録 【目的】日本のB型慢性肝炎におけるHBV genotypeは約85%がgenotype Cであり、西日本では95%以上を占めると報告されている。一方、沖縄や東北地方などの一部地域ではgenotype Bが多いと報告されているが、2011年5月まで保険診療でgenotypeを測定することができなかったためその詳細は不明であった。今回我々は、宮城県・県南部に位置する当院に通院するHBVキャリア・B型慢性肝疾患患者のHBV genotypeについて検討したので報告する。【方法】2011年5月から2012年2月まで当院でHBV genotypeを測定した111例のうち急性肝炎1例(genotype A)と外国人3例(韓国人2例、中国人1例、いずれもgenotype C)を除いた107例(男性59例、女性48例)(年齢18~84歳:平均55.4歳)(genotype測定時に核酸アナログによる治療中の24例を含む)を対象とした。そしてこれらのgenotypeの割合、genotype 別のHBe抗原陽性率、HBV-DNA量について検討した。なお、治療中の症例は治療開始前の検査結果で検討した。【成績】1)genotypeはA 2例(1.9%)、B 59例(55.1%)、C 31例(29.0%)、D 1例(0.9%)、判定保留 14例(13.1%)とgenotype Bが半数以上を占めていた。2)HBe抗原陽性率をgenotype BとCで比較するとB 3例(5.1%)、C 7例(22.6%)とgenotype Cで高率であった。3)HBV-DNA量が4Logcopies/ml以上と「治療ガイドライン」で治療対象になる可能性のある症例の割合を検討すると、B 37例(62.7%)、C 18例(58.1%)とほぼ同様であり、現在治療中あるいはその後治療を開始した症例数で比較してもB 20例(33.9%)、C 12例(38.7%)とあまり差を認めなかった。【結論】宮城県・県南部に位置する当院に通院しているHBVキャリア・B型慢性肝疾患患者の約60%がgenotype Bであった。当地域のgenotype B の症例はgenotype Cに比べHBe抗原の陽性率は低いもののHBV-DNA量はほぼ同等であり核酸アナログ製剤の治療対象となる症例も少なくなかった。
索引用語 HBV genotype, B型慢性肝疾患