セッション情報 | ポスターセッション(消化器病学会)肝臓(B型肝炎) |
---|---|
タイトル | 消P-11:当院における核酸アナログ製剤を投与されたB型肝炎患者における肝予備能の改善と肝発癌についての検討 |
演者 | 寺澤 裕之(三豊総合病院・内科) |
共同演者 | 守屋 昭男(三豊総合病院・内科), 安齋 泰子(三豊総合病院・内科), 竹内 桂子(三豊総合病院・内科), 吉田 泰成(三豊総合病院・内科), 神野 秀基(三豊総合病院・内科), 幡 英典(三豊総合病院・内科), 今川 敦(三豊総合病院・内科), 中津 守人(三豊総合病院・内科), 安東 正晴(三豊総合病院・内科) |
抄録 | 【目的】核酸アナログ製剤は肝炎ウイルスのDNA合成を阻害してウイルスの複製を抑制することにより抗ウイルス作用を示す。治療導入により肝炎の沈静化が得られ、肝予備能の改善や肝細胞癌発症の抑制も報告されているが、投与開始後の長期経過については引き続き検討を続けていく必要がある。【対象と方法】当院において核酸アナログ製剤が投与されたB型肝炎患者のうち、投与開始時に肝臓癌の発症がなく、且つ1年以上経過を追うことができた58例(男性39例、女性19例、治療開始時の平均年齢52.6歳)を対象とした。核酸アナログ製剤開始時と、その後の経過観察における最新データを、対応のあるウィルコクソン検定で比較した。また、経過中の肝癌発症についても検討した。【結果】核酸アナログ製剤の内訳は、エンテカビル44例、ラミブジン7例、ラミブジンからエンテカビルへの切り替え6例、ラミブジン単独からアデフォビル併用1例であった。観察期間中央値は46ヶ月(最長観察期間129カ月)であった。核酸アナログ製剤開始により、ASTは中央値70.5 IU/Lから24 IU/Lへ有意に低下(p<0.001)、ALTは 76 IU/Lから20 IU/Lへ有意に低下(p<0.001)、AFP は9.6 ng/mlから3.2 ng/mlに有意に低下(p=0.023)、アルブミンは4.0 mg/dlから4.4 mg/dlへ有意に上昇(p=0.015)、血小板数は12.6万/μLから14.8万/μLへ有意に増加していた(p=0.003)。また、核酸アナログ製剤開始後に4症例(6.9%)において肝癌発症が認められた。核酸アナログ製剤開始後から肝癌発症までの期間はそれぞれ1ヵ月、2ヵ月、7ヵ月、16ヵ月と比較的早期だった。今回の検討では、肝癌発症に関与する因子は明らかではなかった。【結論】核酸アナログ製剤開始により、各データの有意な改善を認めた。また、核酸アナログ製剤開始後特に早期には肝癌発症に注意が必要であると考えられた。 |
索引用語 | エンテカビル, ラミブジン |