セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(B型肝炎)

タイトル 消P-13:

当院におけるHBV急性増悪・再活性化の検討

演者 山田 航希(沖縄県立中部病院・消化器内科)
共同演者 吉田 幸生(沖縄県立中部病院・消化器内科), 知念 健司(沖縄県立中部病院・消化器内科), 久保田 富秋(沖縄県立中部病院・消化器内科), 新城 雅行(沖縄県立中部病院・消化器内科), 島袋 容司樹(沖縄県立中部病院・消化器内科), 菊地 馨(沖縄県立中部病院・消化器内科)
抄録 【背景・目的】B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアは常に急性増悪ならびに再活性化の危険を考慮し診療にあたる必要がある. 特に免疫抑制・化学療法に伴うHBV再活性化は致死的な肝炎を発症することが知られている. 既往感染者において免疫抑制・化学療法を契機にHBV増殖がおこるde novo肝炎では劇症化の頻度も高いためさらなる注意が必要である. 今回、当院におけるHBV 急性増悪・再活性化を検討したので報告する.【方法】1999年1月から2011年12月までに当院においてHBV急性増悪・再活性化と診断された16例の患者背景、基礎疾患、原因薬剤、HBV-DNA量、治療、転帰を後ろ向きに検討した. HBV急性増悪・再活性化の定義として無症候性HBVキャリアまたは既往感染者においてHBs抗原が持続陽性または陽性化し肝機能酵素が正常上限の10倍以上を示すもの、もしくは意識障害や凝固機能の低下を呈し臨床的に肝炎の増悪と判断されるものとした.【結果】患者数は16人。男女比6:10、平均年齢56.2歳(中央値56)、原因として自然経過によると考えられたものが9例、免疫抑制・化学療法中あるいは終了後にHBV急性増悪・再活性化を生じたものが7例であった. また免疫抑制・化学療法に伴いHBV急性増悪・再活性化を認めた7例の基礎疾患/原因薬剤は、成人T細胞白血病/CHOP療法、悪性リンパ腫/(R-)CHOP療法、成人T細胞白血病/VP-16、急性骨髄性白血病/6-MP+MTX+tretinoin、大腸癌/ FOLFIRI+BVA、関節リウマチ/ MTX+PSL、腎移植後/ CyA+PSLであった.発症後のHBV DNA量は平均7.5 LGE/mlであり、既往感染者からのde novo肝炎を1例に認めた. 8例において劇症化を認め、治療として核酸アナログ製剤12例、血漿交換8例、ステロイドパルス療法が9例で各々行われ、生存は8例であった.【結論】免疫抑制・化学療法開始前にはHBVキャリアまたは既往感染の診断はもちろんのこと、既往感染者へのHBV-DNA量のモニタリングやキャリアへの予防的核酸アナログ製剤の投与をよりいっそう周知していく必要がある.
索引用語 B型肝炎, 再活性化