セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(B型肝炎)

タイトル 消P-14:

誘因がはっきりしないがHBV reactivationを起こしたと思われる高齢2症例

演者 平嶋 昇(国立東名古屋病院)
共同演者 小林 慶子(国立東名古屋病院), 高橋 宏尚(国立東名古屋病院), 都築 智之(国立名古屋医療センター・消化器科), 島田 昌明(国立名古屋医療センター・消化器科), 岩瀬 弘明(国立名古屋医療センター・消化器科), 後藤 秀実(名古屋大・消化器内科)
抄録 [はじめに]最近、免疫療法や化学療法によりB型肝炎が惹起される病態が注目されている。今回明らかな原因が無いにも関わらずB型肝炎ウイルス(HBV)のreactivationを起こしたと思われる高齢2症例を経験したので報告する。[症例1]80歳、女性。2008年から肺アスペルギルス症にて呼吸器内科で抗真菌剤アンホテリシンB・イトリゾールを適宜使用、降圧剤ロサルタン・バルサルタン・アムロジピンを内服。2007/9/14の採血ではHBs抗原陰性であった。2011/9/15 AST71U/l,ALT66U/lと初めて肝障害を指摘された。2011/10/26 AST193U/l, ALT180U/l, HBs抗原陽性, HCV抗体陰性, HBe抗原1579S/CO, HBe抗体陰性, HBV DNA7.9 Logコピー/ml, HBc抗体10.18 S/CO, IgM-HBc抗体0.76 S/COよりHBV急性増悪と判断しエンテカビル0.5mgを開始した。[症例2]74歳、男性。パーキンソン病にて神経内科で2007/11/15抗パーキンソン病剤レボドーパ・ドロキシドーパ・アマンタジン・プラミペキソルで治療開始、2010/12/9ゾミサシドを追加。2010/10/19前立腺肥大治療にタムスロシン、過活動性膀胱にソリフェナシンが開始。2009/9/1と2011/5/31HBs抗原陰性であった。2012/1/5初めて肝障害AST34U/l,ALT31U/lとHBs抗原23041IU/mlを指摘された。2012/1/20 AST134U/l,ALT188U/l, HCV抗体陰性, HBe抗原1.82S/CO, HBe抗体陰性, HBV DNA9.0Logコピー/ml, HBc抗体9.38S/CO, IgM-HBc抗体0.19 S/COよりHBV急性増悪と判断しエンテカビル0.5mgを開始した。[考察]2症例とも過去にHBc抗体・HBs抗体は測定されていないがHBs抗原陰性であったこと、肝障害発生時にHBs抗原・HBV DNA陽性, HBc抗体陽性, IgM-HBc抗体陰性よりHBV reactivationを起こしたと判断した。免疫療法や化学療法は行っておらず、HIV抗体は陰性、CD4/8は正常であり、誘因がはっきりしないがHBV reactivationを起こしたと考えらえる高齢2症例を経験し注意が必要と考えられた。
索引用語 HBV reactivation, 原因不明