セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(B型肝炎)

タイトル 消P-15:

免疫抑制・化学療法によるde novo B型肝炎の3症例

演者 國原 紗代子(県立広島病院・内視鏡内科)
共同演者 北本 幹也(県立広島病院・消化器内科), 辰川 裕美子(県立広島病院・消化器内科), 井川 敦(県立広島病院・消化器内科), 隅岡 正昭(県立広島病院・内視鏡内科DELIMITER県立広島病院・消化器内科), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科)
抄録 【緒言】HBV既感染例(HBs抗原陰性、HBc抗体陽性)において免疫抑制療法や化学療法を行うとその治療中あるいは終了後にHBV DNAが増加し、de novo B型肝炎を引き起こすことが報告され、注目されている。今回我々は、ステロイドや免疫抑制剤によりde novo B型肝炎の3例を経験したのでその詳細を報告する。【症例1】60歳代女性。Wegener肉芽腫症にて40歳代からプレドニゾロン20~40mg/日、アザチオプリン50~100mg/日で加療中。免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドラインに基づき検査した結果、HBs抗原陰性、HBc抗体 60.5(+)、HBs抗体陰性、HBV DNA<2.1Log copy/mLであるもPCRで陽性であった。エンテカビル(ETV)を開始し、1カ月後にはHBV DNAは陰性化した。【症例2】90歳代男性。側頭動脈炎にてシクロホスファミド50mg/日、プレドニゾロン6~10mg/日で加療中。開始時HBs抗原は陰性であった。1年後ガイドラインに基づき検査した結果、HBc抗体 117.7(+)、HBs抗体陽性、HBV DNA<2.1Log copy/mLであるもPCRで陽性であった。ETVを開始し、3カ月後にHBV DNAは陰性化した。【症例3】80歳代男性。HBs抗原は陰性であった。前立腺癌にて3年間化学療法を施行後、1年前よりデキサメタゾン1mg/日で加療中であったが、AST 155U/l、ALT 117U/lと上昇を認め当科紹介となった。HBc抗体 200以上(+)、HBs抗体陽性、HBV DNA 7.9Log copy/mLであり、ETVとステロイドパルス療法を開始している。【考察】2例はガイドラインサーベイランス中に発見されたため速やかに治療を施行できたが、1例は肝炎発症後であり、集中治療が必要となっている。HBc高抗体価の症例を認め、HBs抗原自然消失例の可能性も考えられた。さほど高容量ではないステロイドにも関わらず発症したと考えられる症例を認め、注意を要すると考えられた。【結語】免疫抑制療法や化学療法の際にはガイドラインに従いde novo B型肝炎を常に考慮しておく必要がある。
索引用語 de novo 肝炎, HBV再活性化