セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
肝臓(C型肝炎)1
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タイトル |
消P-17:薬物静注によるC型慢性肝炎のHCV血清型
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演者 |
堀 立明(博愛病院・内科) |
共同演者 |
楠本 智章(博愛病院・内科), 大谷 英之(博愛病院・内科), 浜本 哲郎(博愛病院・内科), 鶴原 一郎(博愛病院・内科), 周防 武昭(博愛病院・内科), 満田 朱理(鳥取赤十字病院・内科), 岸本 幸広(山陰労災病院・消化器内科) |
抄録 |
「目的」C型肝炎ウイルス(HCV)の感染経路として輸血、医療行為、民間療法などとともに広範囲の刺青、覚醒剤や麻薬の薬物静脈注射の回し打ちが報告されているが、一般に刺青に比べて薬物静注への関心は少ない。われわれは先に薬物静注例ではHCVの2型が多いことを報告した。今回、症例を増加して薬物静注歴のあるC型慢性肝疾患の臨床的特徴とくにHCV血清型を検討したので報告する。「方法」薬物静注の既往のあるC型慢性肝疾患42例ならびに任意に選択した輸血歴のある256例を対象とした。各症例について年齢、性、感染時年齢、刺青の有無を聴取するとともにHCV血清型を比較検討した。「成績」薬物静注の既往がある42例のうち2例は輸血歴があったので除外し40例について検討した。薬物静注群と輸血群の年齢は各々55±12歳,65±13歳,感染年齢は各々22±6歳,29±12歳と薬物静注群で有意に若かった(p<0.01)。また性差では薬物静注群では男性が88%と輸血群の63%に比し有意に多かった(p<0.01)。薬物静注群のHCV血清型は1型30%,2型70%と輸血群の1型72%、2型28%に比し有意に2型が多かった(p<0.01)。一方、薬物静注群40例のうち20例に刺青があり、20例にはなかった。刺青の有無で検討すると、刺青群と非刺青群の年齢は各々55±11歳、54±11歳、感染時年齢は各々22±7歳、21±5歳と差がなく、性差もみられなかった。一方、HCV血清型は非刺青群で1型15%、2型85%と刺青群の各々45%、55%に比較して有意に2型が多かった(p<0.05)。「結語」C型慢性肝疾患の感染経路として薬物静注は刺青の2倍あるので薬物静注の有無を聴取する必要がある。薬物静注による患者は輸血例に比べて2型が多くみられたので、2型の患者を発端として感染が拡大したと推測される。 |
索引用語 |
C型肝炎, 薬物静注 |