セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(C型肝炎)1

タイトル 消P-18:

C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療による甲状腺機能異常に関する検討

演者 森下 祐子(くまもと森都総合病院・肝臓・消化器内科)
共同演者 宮瀬 志保(くまもと森都総合病院・肝臓・消化器内科), 原岡 克樹(くまもと森都総合病院・肝臓・消化器内科), 大内田 義博(くまもと森都総合病院・肝臓・消化器内科), 藤山 重俊(くまもと森都総合病院・肝臓・消化器内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎は、インターフェロン(IFN)を用いた抗ウイルス治療によって高率にウイルス駆除が期待されているが、その反面、甲状腺機能異常の誘因となることが知られている。治療前の甲状腺自己抗体と治療前後の甲状腺機能を観察して、甲状腺異常の発症に関与する要因とその経過を検討した。【方法】対象は平成20年1月より22年12月までにIFNを用いた抗ウイルス治療を導入し、終了後6ヶ月間の経過観察可能であったC型慢性肝炎352例、男性182例、女性170例、平均58.8歳、治療内容はPegIFNとRBV併用 312例、IFNα単独 28例、IFNβ12例であった。【結果】治療前の甲状腺ホルモン値平均はTSH 2.07μg/ml、F-T3 3.46pg/ml、F-T4 0.87ng/mlで、甲状腺自己抗体の陽性率はTg-Ab 333例中32例(9.6%)、抗TPO抗体は335例中32例(9.5%)、両方陽性は27例(8.1%)であった。IFN治療開始から終了後6ヶ月間の観察期間中に、内服治療を要する甲状腺機能異常発症例は14例(3.98%)で、男性2例、女性12例、平均58.3歳、RBV併用が12例(3.8%)、IFNα単独が2例(7.1%)、発症時期は治療開始後1-14ヶ月(平均6.6ヶ月)であった。この14例では治療前の自己抗体陽性は12例で甲状腺機能低下で、陰性の2例は機能亢進症で発症している。甲状腺疾患の治療は、IFN治療終了後も、13例で内服治療の継続を要した。【結論】IFN治療による甲状腺疾患の発症は、治療前の甲状腺自己抗体:Tg-Ab陽性者の32%、抗TPO抗体陽性者の38%と、潜在性疾患が顕性化した可能性が大きい。なかでもTg-Ab陽性の女性の発症率は21例中12例57.1%と高く、IFN導入前より留意することで発症早期に治療が開始でき、IFN治療を安全に継続できる。しかし、治療前に予測できない例もあり、治療前の自己抗体の有無にかかわらず、治療中・治療後の経過観察を要する。また、治療前に発症が懸念されても予防は困難であり、発症後は継続した内服治療を要する例が多いため、その対策が今後の課題として残る。
索引用語 甲状腺機能異常, インターフェロン治療