セッション情報 |
シンポジウム5(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会・消化器がん検診学会合同)
胃癌発生と腸上皮化生
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タイトル |
消S5-8:Activation-induced cytidine deaminase (AID)およびp53発現と腸上皮化生
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演者 |
永田 尚義(国立国際医療研究センター・消化器科) |
共同演者 |
秋山 純一(国立国際医療研究センター・消化器科), 丸澤 宏之(京都大・消化器内科) |
抄録 |
【背景と目的】近年、DNA変異活性を持った遺伝子編集酵素AIDが、H. pylori(HP)感染を契機に胃上皮細胞で異常発現し、発癌過程に見られる癌関連遺伝子変異を引き起こすことが明らかになった。生検組織を用いてAIDおよびp53の発現と腸上皮化生との関連について検討した。【方法】上部内視鏡検査を施行し基準を満たしたHP陽性60例、180個の生検材料を対象とした。生検は、体上部大弯、体下部小弯、前庭部大弯の3カ所から採取した。組織学的病理像は、Updated Sydney System(USS)にてスコア(0-3)化した。AID発現は、胃粘膜上皮における免疫染色の染色性(0-3)と陽性細胞の割合(0-4)の合計スコア(0-7)で評価した。p53発現は、核の染色陽性細胞の割合から0-3で評価した。AID発現量と胃内部位、年齢、性別、USS(Hp、好中球、リンパ球、萎縮、腸上皮化生スコア)との関連は、回帰分析にて抽出した。【成績】前庭部、好中球、リンパ球、萎縮、腸上皮化生が有意(p<0.05)にAID発現量と相関した(単回帰分析)。重回帰分析では、前庭部(r:0.84)、リンパ球(r:0.54)、腸上皮化生(r:0.82)が独立して有意に(p<0.05)AID発現量と相関する因子であった。また、AID発現量とp53発現量は有意に(p<0.01)正の相関(r:0.97)を示した。【結論】Hp陽性患者において、前庭部、リンパ球浸潤の重度な粘膜、腸上皮化生が高度な粘膜が、AIDおよびp53発現と独立して関連することが示唆された。胃癌発生を抑止するためには、遺伝子変異が蓄積する前の早い段階に除菌治療を行うことが重要であると思われた。 |
索引用語 |
AID, 腸上皮化生 |