セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(診断(画像))

タイトル 消P-31:

大腸癌肝転移に対するEOB造影MRIの有用性の検討

演者 村上 昌裕(市立吹田市民病院・外科)
共同演者 村田 幸平(市立吹田市民病院・外科), 岡村 修(市立吹田市民病院・外科), 岡田 一幸(市立吹田市民病院・外科), 戎井 力(市立吹田市民病院・外科), 衣田 誠克(市立吹田市民病院・外科)
抄録 【目的】大腸癌肝転移は、治療後早期に微小転移巣が顕在化あるいは増大して再発することが多く、診断とその治療方針についてはいまだ議論の分かれる状況である。特に近年目覚ましく進歩した化学療法後の効果判定や10mm未満の小病変では、造影CTや18F-FDG PET/CTでも検出困難な場合があり、当院でも治療方針を決定する上で難渋する症例を経験している。Gd-EOB-DTPA(以下EOB)造影MRIは、肝細胞特異性を有する造影剤を使用したMRI検査であり、造影CTなど肝腫瘍の血流情報のみでは評価困難な小肝細胞癌や転移性肝腫瘍の検出と診断に有用とされている。現在までに造影CTや18F-FDG PET/CTでは検出困難であった結節をEOB造影MRIで検出できた症例を多く経験しており、EOB造影MRIは大腸癌肝転移の検出に有用な画像検査であると期待される。今回、大腸癌肝転移におけるEOB造影MRIの有用性を、造影CTあるいは18F-FDG PET/CTと比較し、Retrospectiveに検討した。【方法】2008年より全11症例(男/女:9/2例、平均年齢63.3歳(55-73歳)、原発巣が結腸/直腸:8/3例、同時性/異時性:4/7例、単発/多発:8/3例、診断前の全身化学療法の有/無:10/1例)に肝切除術を施行し、合計15結節が病理組織学的検査にて大腸癌肝転移と診断された。術前に施行したEOB造影MRI(造影剤投与後10-20分の肝細胞造影相で診断)、造影CTと18F-FDG PET/CTの検出率などを比較検討した。【成績】腫瘍径の平均は17.1mm(7-45mm)で10mm未満の病変は5結節であった。EOB造影MRI、造影CTと18F-FDG PET/CTで描出可能であったのは、それぞれ14/11/9結節であった。化学療法により縮小を認めたなどの理由も含めて、造影CTと18F-FDG PET/CTでは描出できなかったが、EOB造影MRIでのみ描出できたのは4結節で、その腫瘍径の平均は8.5mm(7-9mm)とすべて10mm未満であった。【結論】大腸癌肝転移に対する化学療法後の縮小病変や、腫瘍径が10mm未満の小病変の画像評価に関して、EOB造影MRIが有用であると考えられた。
索引用語 EOB-MRI, 肝転移