セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(NASH/NAFLD、アルコール性肝障害)1

タイトル 消P-33:

Fyn チロシンキナーゼは、メチオニン・コリン欠乏飼料によるマウスの肝脂肪変性の進展に関与する。

演者 福西 新弥(大阪医大・2内科)
共同演者 筋師 徹也(大阪医大・2内科), 土本 雄亮(大阪医大・2内科), 朝井 章(大阪医大・2内科), 津田 泰宏(大阪医大・2内科), 福田 彰(大阪医大・2内科), 樋口 和秀(大阪医大・2内科)
抄録 【目的】Fyn チロシンキナーゼ(Fyn)は、src-familyタンパクキナーゼのひとつであり、以前にわれわれはFynの欠損した(Fyn-/-)マウスに慢性にエタノールを摂取させることによって、肝に脂肪変性が発現しにくいことを報告した。またこれまでにFyn-/-マウスは、通常飼料の摂取によって肝内の中性脂肪濃度が対照マウスと比較して、低下していることが報告されている。これらの報告より、Fynが肝臓での脂肪変性に関連し、Fyn-/-マウスでは脂肪変性が発現しにくい可能性が示唆される。今回、われわれは齧歯類で肝内の中性脂肪濃度を上昇させ、肝臓に組織学的に非アルコール性脂肪性変化を発現させるメチオニン・コリン欠乏(MCD)飼料をFyn-/-マウスに摂取させることによる肝臓の組織学的な変化の有無について検討した。【方法】8週齢の雄性Fyn-/-マウス(n=5)と対照マウスであるC57BL/6J Fyn+/+ (Fyn+/+)マウス(n=5)にMCD飼料とコントロール飼料を各々8週間摂取させた。期間終了後、麻酔下にて各群のマウスから血液及び肝臓のサンプルを採取した。【成績】組織学的な検討においてFyn-/-マウスの肝臓では、Fyn+/+マウスと比較して、予測した結果に反して、著明な脂肪変性を認めた。また生化学的な検討ではFyn-/-マウスの肝の中性脂肪濃度及び遊離脂肪酸濃度はFyn+/+マウスのそれらと比べて有意に上昇していた。また肝の脂肪変性の進展に関連しているTNF-αの肝臓内の濃度についても、Fyn-/-マウスで有意に高い濃度を示し、これらの結果は組織所見と一致していた。【結論】Fynチロシンキナーゼは、MCD飼料によって誘導される肝脂肪変性の進展過程に関与している可能性が示唆された。
索引用語 脂肪変性, Fynチロシンキナーゼ