セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(NASH/NAFLD、アルコール性肝障害)1

タイトル 消P-36:

多系統マウスモデルによるアルコール性肝障害発生機序の検討

演者 土屋 雅人(山梨大・1外科)
共同演者 河野 寛(山梨大・1外科), 藤井 秀樹(山梨大・1外科), I.  Rusyn(University of North Carolina)
抄録 【目的】アルコール性肝障害の発生と病態には個人差がみられ、大量飲酒者のすべてがアルコール性肝障害を惹き起こさない。我々はこの点に着目し、アルコール性肝障害の発生機序につき検討した。【方法】14系統の胃瘻造設マウスにアルコール混餌を経胃瘻的に28日間持続投与し、系統ごとにアルコール性肝障害の程度を評価した。対照として同等のカロリーを投与した群を用いた。尿中アルコール濃度、肝内脂肪代謝、小胞体ストレス、酸化ストレス、メチオニン・ホモシステイン代謝に着目し、系統ごとの相違につき検討を行った。【成績】アルコール性肝障害は肝脂肪化、炎症、壊死につき評価し、NZW/LacJ、WSB/EiJがそれぞれ最もアルコール感受性、耐性であった。尿中アルコール濃度のピークと肝障害の間に関連は見られなかった。Mttpの発現はアルコール耐性の系統で高発現、Acox1、Adipor2はアルコール感受性の系統で発現が減少していた。アルコール感受性の系統はER stress markerの上昇がみられた。肝内GSHと肝障害の間には負の相関がみられた。血中ホモシステインはアルコール投与で有意に上昇、肝障害、肝脂肪と有意に相関していた。肝内SAHとホモシステインはほとんどの系統でアルコールによる上昇がみられ、SAM/SAH ratioと肝障害の間には負の相関がみられた。アルコールによるBhmtの変化と血中ホモシステイン濃度の間には負の相関がみられた。MtrとMthfrはアルコール感受性の系統でアルコールによる発現低下がみられた。Mat1aはアルコール耐性の系統でアルコールによる発現上昇がみられた。Gnmt、Ahcy、Cbs、Cthはアルコール耐性の系統で高発現、感受性の系統で低発現していた。【結論】高ホモシステイン血症はアルコール性肝障害に関連する重要なmolecular eventである可能性が示唆された。アルコール耐性の系統では再メチル化経路、イオウ転移経路の活性化によりホモシステインの代謝が起こり、肝障害を抑制したものと思われた。
索引用語 アルコール性肝障害, ホモシステイン