セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(NASH/NAFLD、アルコール性肝障害)2

タイトル 消P-37:

ヒト血清と肝組織におけるMFG-E8の比較検討

演者 飛田 博史(島根大・2内科)
共同演者 佐藤 秀一(島根大・2内科), 三宅 達也(島根大・2内科), 斉藤 宰(島根大・2内科), 石原 俊二(島根大・2内科), 木下 芳一(島根大・2内科)
抄録 【目的】非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は, 肝硬変や肝癌に進行する疾患であり, 早期の診断と治療が重要である. NASHの確定診断には肝生検がgolden standardとされている. しかし, 肝生検は侵襲的な検査であり, より安全で簡便な検査が望まれる. 私達はこれまで血清MFG-E8(Milk Fat Globular Protein EGF-8)濃度が, NASH患者で健常者やウイルス性慢性肝炎患者と比較して高値であり, NASHのバイオマーカーとなり得ることを報告してきた. 私達は肝常在性のマクロファージであるKupffer細胞や浸潤性のマクロファージがNASHの病態に深く関与していると考えている. マクロファージはアポトーシス細胞を貪食するが, その際に自己が分泌したMFG-E8を介してアポトーシス細胞とリンクする. 今回私達は血清中のMFG-E8が肝組織由来である可能性を検討することを目的とした.【方法】島根大学倫理委員会の承認と患者の同意を得て, NASH, 慢性肝障害と転移性肝腫瘍患者の病理組織診断を行う目的で肝生検を行った際に, 肝組織中のMFG-E8を検討する為の組織を採取した. 肝生検後の合併症の有無をみる為の採血の際に, 血清中のMFG-E8を検討する為の血清を採取した. 肝組織中のMFG-E8はRT-PCR, 血清中のMFG-E8はELISAで測定した.【成績】NASH5症例, ウイルス性慢性肝炎8症例, 転移性肝腫瘍2症例, アルコール性肝障害1症例, 原発性胆汁性肝硬変1症例, 原因不明の肝障害1症例, 計18症例について検討を行った. 肝組織中のMFG-E8発現量と血清中のMFG-E8濃度に正の相関(相関係数0.635)を認めた.【結論】私達がNASHのバイオマーカーとして考えているMFG-E8の, 血清濃度と肝組織中の発現量に相関を認めた. 血清中のMFG-E8濃度は, 肝組織におけるMFG-E8の発現を反映している可能性が示唆された.
索引用語 NASH, MFG-E8