セッション情報 |
ポスターセッション(消化器病学会)
肝臓(NASH/NAFLD、アルコール性肝障害)2
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タイトル |
消P-38:NAFLD-NASH関連肝細胞癌に対する肝切除の治療成績
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演者 |
若井 俊文(新潟大大学院・消化器・一般外科学) |
共同演者 |
坂田 純(新潟大大学院・消化器・一般外科学), 白井 良夫(新潟大大学院・消化器・一般外科学), 畠山 勝義(新潟大大学院・消化器・一般外科学), 味岡 洋一(新潟大大学院・分子・診断病理学) |
抄録 |
【目的】非アルコール性脂肪性肝疾患(以下NAFLD)における肝細胞癌に対する外科治療成績を明らかにする.【方法】1990年1月から2011年12月までに当科で肝細胞癌の診断で外科治療が施行された538例中,以下に示すNAFLD診断基準を満たした25例(NAFLD群)を抽出した.NAFLD診断基準は,Kleinerらの報告に準じて,1)アルコール摂取量<20 g/日未満,2)血清学的肝炎マーカー陰性,3)組織学的にNAFLD(5%以上のhepatic steatosis,lobular inflammation,ballooning)に適合とし,3項目をすべて満たす場合にNAFLDと診断した.NAFLDを背景とした肝細胞癌患者の臨床病理学的背景因子,術後遠隔成績を解析した.【成績】年齢中央値73歳(54~83歳)と高齢であり,BMI中央値25.6(19.3~38.3)であった.NAFLD25例におけるNAFLD activity scoreの中央値は5点(範囲,2~7点)であり,全例に5%以上のhepatic steatosisおよびlobular inflammationを認めた.NAFLD群25例中14例は非アルコール性脂肪肝炎(以下NASH)と診断された.術後合併症は15例(60%)に発生し,その内訳は肝不全6例,胆汁漏4例,門脈血栓症2例,難治性腹水1例,麻痺性腸閉塞1例,急性呼吸不全1例であった.術後肝不全による在院死亡が2例に発生しており,2例ともNASHに関連した肝硬変に合併した肝細胞癌に対して肝右葉切除が施行されていた.術後累積3,5,10年生存率は79%,69%,69%であった.術後累積3,5,10年無再発生存率は55%,55%,44%であり,術後無再発生存期間中央値は69か月であった.【結論】NAFLD関連肝細胞癌に対する外科治療は予後を改善するが,術後合併症発生率は高く,特にNASH関連肝硬変患者に対して肝葉切除を行う際には細心の注意が必要である. |
索引用語 |
非アルコール性脂肪性肝疾患, 肝細胞癌 |