セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(NASH/NAFLD、アルコール性肝障害)2

タイトル 消P-40:

乳癌内分泌療法に伴う非アルコール性脂肪肝炎の臨床的検討

演者 松崎 寿久(国立佐賀病院・内科)
共同演者 高原 郁子(国立佐賀病院・内科), 堀江 一郎(国立佐賀病院・内科), 加藤 浩之(国立佐賀病院・内科), 森田 道(国立佐賀病院・外科), 松島 肇(国立佐賀病院・外科), 中島 弘治(国立佐賀病院・外科), 円城寺 昭人(国立佐賀病院・外科), 山口 淳三(国立佐賀病院・外科), 中尾 一彦(長崎大・消化器内科), 島 正義(国立佐賀病院・内科)
抄録 背景:非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は脂肪肝(NAFLD)のうち10%程度に発症し、その後放置すれば肝硬変に至る可能性がある進行性の肝疾患である。NASHの多くは肥満に伴うメタボリックシンドロームを基礎として生じるが、一方で薬剤により誘発されるNASHの存在も近年明らかになった。特に乳癌に対する内分泌療法においてその頻度が高いことが知られている。今回、当院における乳癌患者を対象に薬剤性NASHの頻度とその臨床背景について検討を行った。 対象と方法:2007年4月から2011年12月までに当院で入院加療した乳癌患者315例を対象とした。このうち当院において治療前後でCTでの画像評価が可能であった253例についてCT値(肝脾比0.9以下)をもとにNAFLD、NASHの発症率を検討した。また、その臨床的背景についてretrospectiveに検討した。結果:253例中、40例が画像上NAFLDの診断であり、そのうち9例で基準値の2倍以上の持続的な肝機能異常を認めておりNASHが疑われた。このうち肝生検を施行されたのは2例のみであったが、どちらもNASHの確定診断に至っていた。NAFLDを生じた群(NAFLD)と生じなかった群(nonNAFLD)で比較したところ、NAFLD群で有意にBMIが高値であった(NAFLD: nonNAFLD=25.4: 22.3, p<0.001)。また、NAFLD群では55.0%にタモキシフェン(TAM)を含む内分泌療法を行われており、nonNAFLD群と比較して有意に多く(NAFLD: nonNAFLD=55.0%: 37.0%, P<0.034)、TAM投与によるNAFLD発症のオッズ比は2.07 (95%CI: 1.05-4.10)であった。結論: 当院における乳癌術後のNAFLDの発症率は15.8%であった。特にTAMの内服によるNAFLDの発症率は21.8%と高値であり、NAFLD/ NASH発症の高危険群と考えられ厳重なフォローを要すると考えられた。
索引用語 NAFLD, NASH