セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(NASH/NAFLD、アルコール性肝障害)2

タイトル 消P-42:

糖尿病は肝炎ウイルス非感染例における肝発癌及び慢性肝不全の重要な危険因子である

演者 安原 ひさ恵(小豆島町立内海病院DELIMITER三豊総合病院・内科)
共同演者 三宅 康広(岡山大病院・消化器内科), 河井 裕介(小豆島町立内海病院), 水重 知子(小豆島町立内海病院), 小川 貴司(小豆島町立内海病院), 久保 文芳(小豆島町立内海病院)
抄録 【目的】糖尿病がC型慢性肝炎における肝発癌の重要な危険因子であることは既に知られている。また、NAFLDを基礎疾患とする肝発癌例が増加傾向にあることも報告されている。今回、糖尿病患者のうち肝炎ウイルス非感染例における肝発癌及び慢性肝不全発生の実態を明らかにするために検討を行った。【方法】HBs抗原及びHCV抗体が両者陰性である糖尿病患者522例において、肝機能の評価と肝癌スクリーニングを施行した。なお、脾腫または食道胃静脈瘤、明らかな肝右葉萎縮・左葉腫大を認める場合を肝硬変、Child分類でBまたはCに該当する場合を慢性肝不全と診断した。【成績】対象症例の年齢は74(50-97)歳、女性が247例(47%)。2例(0. 38%)が肝細胞癌、15例(2.9%)が慢性肝不全と診断された。肝細胞癌または慢性肝不全と診断された17例(3.3%)では、血清クレアチニンが高値(1.1 mg/dl vs 0.8 mg/dl,P = 0.0072)であり、ワーファリン(29% vs 6%,P = 0.0002)とアンジオテンシン受容体拮抗薬(82% vs 58%,P = 0.047)服用者が高頻度であった。また、男性では、肝細胞癌または慢性肝不全と診断された12例(4.4%)において血清クレアチニンが高値(1.2 mg/dl vs 0.9 mg/dl,P = 0.023)でありワーファリン服用者が高頻度(33% vs 8%,P = 0.002)であった。一方。女性では、肝細胞癌または慢性肝不全と診断された5例(2.0%)においてBMIが高値(26.6 vs 23.4,P = 0.029)であった。肝細胞癌または慢性肝不全と診断された17例では、男性例に比べて女性例でBMIが高値であった(26.6 vs 22.7,P = 0.020)。【結論】肝炎ウイルス非感染例においても糖尿病は肝発癌及び慢性肝不全発生の重要な危険因子であることが示された。特に、女性では、肥満が肝発癌及び慢性肝不全発生の危険因子と考えられた。
索引用語 糖尿病, 肝細胞癌