セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(自己免疫性肝疾患、薬物性肝障害)

タイトル 消P-44:

当院における急性肝障害発症型自己免疫性肝炎症例の検討

演者 岡野 宏(鈴鹿中央総合病院・消化器内科)
共同演者 磯野 功明(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 田中 宏樹(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 石原 禎子(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 松崎 晋平(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 青木 雅俊(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 佐瀬 友博(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 齋藤 知規(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 向 克巳(鈴鹿中央総合病院・消化器内科), 西村 晃(鈴鹿中央総合病院・消化器内科)
抄録 【目的】急性肝障害型発症の自己免疫性肝炎症例と他の原因による急性肝障害例を比較検討した。【対象】2003年~2011 年に当院で経験した自己免疫性肝炎(AIH、以下同)16例の内、急性発症型5例とAIH以外の急性肝障害症例で鑑別が必要とされた24例。【結果】上記の期間で自己免疫性肝疾患は28例であった。急性発症型AIHは5例で、全体の約18%、AIH症例の約31%であった。同時期の急性肝障害症例は146例で、急性発症型AIHは約3.4%であった。急性発症型AIH5例は全例女性であった。1例は受診時点で重症型かつAIHscore10点でありステロイド治療を開始した。他の4症例は受診時点でAIHscoreは各々3~9点で、診断、治療開始まで各々8~12日を要した。肝生検ではF1~F3の線維化を認めた。急性肝障害症例は第1病日にHBsAgが判別可能なB型急性肝炎を除くウイルス性肝炎(A,C,E)、EBV肝炎及び薬物性肝障害で、顕性黄疸(T-Bil3.0mg以上)や重症(PT40%以下)となり、早期の鑑別が必要と考えられた24例を比較した。両群共に劇症肝炎例はなかった。急性発症型AIHの年齢中間値は61才、他の急性肝障害例は51才であった。急性発症型AIHは第1病日のAST,ALT,ALP,PT値は有意差を認めなかったが、T-Bil値が7.36±1.5mg/dlと他の急性肝障害例の3.8±2.2mg/dlに比して高値であった。。また血液検査の数値の変化を、第1病日を1として経過を比較した時、AST,ALT値は、他の急性肝障害例ではその後改善するか、一旦増悪後改善に転ずる傾向であったが、急性発症型AIH例は、1日目に治療介入を行わなかった3例で数値の変化に乏しく停滞傾向であった。【結論】当院の急性発症型AIHは組織上線維化を認め、潜在的な慢性炎症からの急性増悪型と思われた。他の急性肝障害と比較して、急性発症型AIHは受診時にT-Bil高値、また初期のAST/ALT値の変動は少なかった。劇症肝炎を除く急性肝障害例では、これらの傾向を認める時、急性発症型AIHの存在を考慮する必要があると考えられた。
索引用語 自己免疫性肝炎, 急性肝障害