セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(自己免疫性肝疾患、薬物性肝障害)

タイトル 消P-45:

性差による原発性胆汁性肝硬変の病態と予後の相違-全国調査における検討から-

演者 廣原 淳子(関西医大・3内科)
共同演者 仲野 俊成(関西医大・大学情報センター医療情報部), 關 壽人(関西医大・3内科), 岡崎 和一(関西医大・3内科), 中沼 安二(金沢大・形態機能病理学), 坪内 博仁(鹿児島大・消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【目的】原発性胆汁性肝硬変(PBC)は自己免疫機序の関与すると考えられる他の多くの疾患と同様に女性に好発する。厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班では1980年以来、継続してPBC全国調査を実施してきた。30年以上におよぶ調査結果をもとに本邦PBCにおける性差による病態と予後の相違について検討した。【方法】第14回PBC全国調査(登録516施設、2009年実施)の登録症例7376例(平均観察期間:80.3ケ月)を対象とした。なお、肝細胞癌(HCC)発生症例の検討ではHBV、HCV感染例を除くデータ十分例2946例(平均観察期間80.0ケ月)を解析対象とした。統計学的解析にはSAS-JMPVer8を用い、p<0.05を有意とした。【成績】全症例における男女比は1:6.8であり、診断時平均年齢は男性58.6±11.9歳、女性は55.4±11.3歳であった。臨床病期の推移では診断時無症候性で最終観察時にも無症状のまま推移した例は男性78.2%、女性81.1%であった。生存率では10年、20年生存率各々男性81.6、54.1%、女性85.5%、73.7%、と男女間に有意差が認められた。観察期間中に発生したHCC例は71例で、累積発癌率は、PBC診断後10年で2.5%(男性7%、女性2%)であり有意に男性群では発癌率が高かった(p<0.001)。HCC発生群において発癌に寄与する因子を多変量解析で検討したところ女性群では組織学的進展度が発癌の危険因子として選択された(p<0.05)。【結論】本邦PBCの男性例は女性例に比較して高齢で、予後不良である。PBCにおける発癌には明らかな性差が認められ、女性例では組織学的進展が発癌に寄与する因子と考えられたが、男性例では他の因子が関与していることが示唆された。
索引用語 原発性胆汁性肝硬変, 性差