セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(自己免疫性肝疾患、薬物性肝障害)

タイトル 消P-46:

当院における抗結核薬による薬物性肝障害症例の検討

演者 松井 茂(済生会川口総合病院・消化器内科)
共同演者 関根 忠一(済生会川口総合病院・消化器内科), 高杉 秀明(済生会川口総合病院・消化器内科), 平田 嘉幸(済生会川口総合病院・消化器内科), 目時 亮(済生会川口総合病院・消化器内科), 小林 久里子(済生会川口総合病院・消化器内科), 井上 勝徳(済生会川口総合病院・消化器内科), 濱田 清誠(済生会川口総合病院・消化器内科), 小柳 佳成(済生会川口総合病院・消化器内科), 原澤 茂(済生会川口総合病院・消化器内科)
抄録 【目的】現在、結核に対してはINH、RFP、PZA、EBまたはSMの4剤併用治療が原則である。抗結核薬により約10%に肝障害が出現し、重症肝障害は0.1~0.6%に発生することが報告されている。今回、我々は最近5年間の抗結核薬による薬物性肝障害症例について検討したので報告する。
【方法】当院で2007年1月から2011年12月までの5年間で、活動性結核と診断され抗結核薬を投与した366例を対象とした。AST 150以上1000 IU/L未満、またはALT 150以上1000 IU/L未満、またはT.B2.0以上5.0 mg/dl未満を中等度肝障害と分類、AST 1000 IU/L以上、またはALT 1000 IU/L以上、またはT.B 5.0 mg/dl以上を高度肝障害と分類して臨床的特徴について検討した。
【成績】対象の366例のうち、中等度以上の肝障害を37例(10.1%)に認めた。内訳は中等度肝障害が30例(8.2%)、高度肝障害が7例(1.9%)であり、高度肝障害例のうち3例(0.8%)に重症肝不全を認めた。中等度以上の肝障害を認めた37例の結核に対する治療は4剤併用治療が33例(89.2%)、PZAを除く3剤併用治療が4例(10.8%)で施行された。37例のうち抗結核薬を継続した症例は6例(16.2%)、抗結核薬を休薬して薬剤数を減らして再開した症例は24例(64.9%)、抗結核薬を中止した症例は7例(18.9%)であった。37例の背景肝疾患は、抗結核薬投与前に軽度肝障害があった症例が8例、HCV陽性が4例、肝硬変が5例であった。7例の高度肝障害症例では投与前に軽度肝障害があった症例が4例、HCV陽性が2例、肝硬変が4例であった。3例の重症肝不全症例は1例が薬物性亜急性型劇症肝炎、1例が薬物性遅発性肝不全、1例が肝硬変に薬物性肝障害がおこり肝不全になった症例であった。
【結論】高度肝障害症例で投与前の肝障害、HCV陽性、肝硬変の頻度が高い傾向にあった。抗結核薬を投与する場合には肝機能・肝予備能の評価が必要であり、肝障害、HCV感染、肝硬変がある症例に対しては投与に際して十分な注意が必要である。
索引用語 薬物性肝障害, 抗結核薬