セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(自己免疫性肝疾患、薬物性肝障害)

タイトル 消P-47:

組織学的に急性型AIHと診断し、PSLが奏功しかつ肝弾性値を長期経過観察し得た2例

演者 小松 まゆみ(社会保険横浜中央病院)
共同演者 藤川 博敏(社会保険横浜中央病院), 堤 奈津子(社会保険横浜中央病院), 稲見 真木子(社会保険横浜中央病院), 伊藤 潔(日本大・消化器肝臓内科), 松岡 俊一(日本大・消化器肝臓内科), 森山 光彦(日本大・消化器肝臓内科), 宮川 浩(帝京大溝口病院・4内科)
抄録 はじめに:自己免疫性肝炎(Autoimmune hepatitis 以下AIH)の急性発症型はANAやIgGが正常な症例がある。早期診断治療のためには薬剤性肝障害などの除外診断に加え、病理所見が重要で、centrilobular necrosis (以下CN) が重要視されている。今回我々は急性型のCNを伴うAIH症例2例においてPSLとUDCAによる治療前後の経過をフィブロスキャンで肝弾性値を測定し継時的な変化を追えた症例を経験したので報告する。
症例1: 66歳女性、肝機能障害精査で入院。AST/ALT 235/257 IU/L、 ANA<20倍、AMA 6.7 、IgG 1119 mg/dl、 HLA DR8 、AIH(IAIHG)score 11点、肝弾性値は20.9kPaで、組織ではCNとnodurarityを呈する線維化を認め、急性型AIHと診断し第4病日からPSL35mgを開始した。症例2: 66歳男性、肝機能障害精査で入院。AST/ALT 510 /656 IU/L、 ANA<40倍、IgG 1142 mg/dl、 HLA DR1 、AIHscore10点、肝弾性値は17.6kPa、組織ではCNとSub-massive necrosisと線維化を認め、急性型AIHと診断し第6病日からPSL40mgを開始した。両者ともPSL投与後の反応は良く、症例1はtransferase同様に肝弾性値も14.3kPaと低下したが、第27病日に45.6kPaと再上昇した。症例2もPSL投与後7.8kPaと低下したが、第60病日に17.5kPaと再上昇した。両者に対しPSLは維持量のまま、UDCA600mgを併用したところ肝弾性値は低下し、その後transferase 値と同様に1年経過した現在に至るまで低値が持続している。
結語:フィブロスキャンは慢性肝疾患において肝弾性値を測定し、肝の線維化を数値化できる装置であるが、急性肝障害でも高値を示すことが報告されている。急性肝障害時は炎症細胞浸潤、胆汁うっ滞など様々な形態を呈しており、PSLやUDCAによる治療による変化を肝弾性値が鋭敏に反応したと思われる。肝弾性値はAIHにおけるPSL治療のメルクマールの一つとなる可能性があり、今後症例を重ねる必要がある。
索引用語 自己免疫性肝炎, 肝弾性値