セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍)2

タイトル 消P-57:

非癌部のFAP発現は肝癌術後再発予測因子となりうる

演者 常松 日奈子(大阪大大学院・消化器内科学)
共同演者 巽 智秀(大阪大大学院・消化器内科学), 甲賀 啓介(甲賀病院・消化器内科), 疋田 隼人(大阪大大学院・消化器内科学), 小瀬 嗣子(大阪大大学院・消化器内科学), 宮崎 昌典(大阪大大学院・消化器内科学), 薬師神 崇行(大阪大大学院・消化器内科学), 宮城 琢也(大阪大大学院・消化器内科学), 江口 英利(大阪大大学院・消化器外科学), 永野 浩昭(大阪大大学院・消化器外科学), 平松 直樹(大阪大大学院・消化器内科学), 土岐 祐一郎(大阪大大学院・消化器外科学), 森 正樹(大阪大大学院・消化器外科学), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】FAP(fibroblast activation protein)は、癌微小環境において癌進展に寄与するproteaseであり、DPP4ファミリーの一つである。本研究では、肝癌切除術を受けた患者の切除標本を用いて、FAP発現と術後肝癌再発の関連について検討を行った。【方法】1999年12月から2005年11月に当院消化器外科において肝癌切除術を受けた64例を対象とした。平均年齢は64±10歳(男性49例、女性15例)、成因はHBV 15例、HCV 13例、HBV+HCV 25例、nonB nonC 11例であり、HCC stage(1/2/3/4)は10/34/14/6例であった。観察期間は再発症例では手術施行日から再発確認日まで、非再発症例では手術施行日から最終生存確認日までとした。肝癌切除標本からRNAを抽出し、Real-time RT-PCR法にて癌部・非癌部におけるFAP mRNA発現量を測定した。各サンプルにおいてFAPのCt値をβ-actinのCt値で補正して、癌部・非癌部でのFAP mRNA発現量を算出した。統計学的手法にはKaplan-Meier法、Log-rank検定、Cox比例ハザードモデルを用いた。【結果】平均観察期間は1039±762日であった。FAP mRNAは非癌部では全例で発現を認めたが、癌部では64例中43例(67%)でのみ発現を認めた。術後再発に寄与する因子について単変量解析を行うと、年齢67歳以上(p=0.004)と非癌部でのFAP mRNA発現量(FAP NT mRNA)0.43以上(p=0.0472)が抽出された。性別、AFP、PIVKA-2、術前TAEの有無、腫瘍肉眼分類、最大腫瘍径、腫瘍分化度は有意ではなかった。また、術後再発に寄与する因子についての多変量解析でも年齢67歳以上(p=0.0018、オッズ比2.386)、FAP NT mRNA 0.43以上(p=0.0181、オッズ比1.943)が独立因子として選択された。【結語】非癌部でのFAP発現量が高いと肝癌術後再発率が高く、再発の予測因子となりうることが示唆された。
索引用語 FAP, 再発予測因子