セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍)2

タイトル 消P-58:

ヒト肝細胞癌におけるFoxM1転写因子の発現意義について

演者 吉田 雄一(大阪大大学院・消化器内科学)
共同演者 柄川 真弓(大阪大大学院・消化器内科学), 木曽 真一(大阪大大学院・消化器内科学), 木津 崇(大阪大大学院・消化器内科学), 古田 訓丸(大阪大大学院・消化器内科学), 竹村 貴代(大阪大大学院・消化器内科学), 茶谷 徳啓(大阪大大学院・消化器内科学), 濱野 美奈(大阪大大学院・消化器内科学), 江崎 久男(大阪大大学院・消化器内科学), 鎌田 佳宏(大阪大大学院・消化器内科学), 友國 晃(大阪大大学院・消化器外科学), 永野 浩昭(大阪大大学院・消化器外科学), 土岐 祐一郎(大阪大大学院・消化器外科学), 森 正樹(大阪大大学院・消化器外科学), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】Forkhead Box M1(以下FoxM1)は、細胞周期制御能を有する多機能な転写因子であり、肝細胞癌(以下HCC)をはじめとした様々な悪性腫瘍との関連が近年報告されている。今回、我々は、同分子に対する分子標的治療の可能性を踏まえて、ヒトHCC手術症例におけるFoxM1発現の意義を臨床病理学的に検討した。【方法】当院にてHCCに対して手術を施行した89症例を対象とした。腫瘍部及び非腫瘍部におけるFoxM1の遺伝子発現を定量的realtime RT-PCR法にて測定し、臨床病理学的事項との関係を検討した。また血管新生因子:Angiopoietin 1(以下Ang1)及び Angiopoietin 2(以下Ang2)の遺伝子発現も測定し、FoxM1発現量との関係を検討した。【成績】1.FoxM1は全体の92%の症例において腫瘍部での発現亢進を認め、腫瘍部では非腫瘍部の約14倍の発現誘導を認めた(p<0.01)。2.FoxM1高発現群(>中央値)は低発現群(<中央値)に比し、有意に術後生存率の低下を認めた(Log-rank test, p<0.05)。3.腫瘍部におけるFoxM1高発現は、多変量解析により術後予後に関与する有意な独立因子であった(Odds ratio:3.39, 95%CI:1.41-9.43, p<0.01)。4.腫瘍部におけるFoxM1の発現量は、AFP、腫瘍径、分化度、stage、門脈浸潤、治癒度と有意な相関を認めた(AFP、分化度,stage:p<0.01, 腫瘍径,門脈浸潤,治癒度:p<0.05)。5.FoxM1高発現群では低発現群に比し、Ang1、 Ang2の遺伝子が有意に増加していた(Ang1:p<0.05, Ang2:p<0.01)。6.FoxM1とAng2の発現は有意な正の相関を認めた(R=0.52, p<0.001)【結語】FoxM1転写因子は、ヒトHCCの予後を規定する因子であり、血管新生因子との関与が示唆された。
索引用語 FoxM1, 予後決定因子