セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍)2

タイトル 消P-61:

分子標的薬Bevacizumabの小胞体ストレス応答を介した肝切除後肝機能障害改善効果

演者 宮谷 知彦(徳島大病院・消化器・移植外科)
共同演者 島田 光生(徳島大病院・消化器・移植外科), 宇都宮 徹(徳島大病院・消化器・移植外科), 居村 暁(徳島大病院・消化器・移植外科), 森根 裕二(徳島大病院・消化器・移植外科), 池本 哲也(徳島大病院・消化器・移植外科), 森 大樹(徳島大病院・消化器・移植外科), 花岡 潤(徳島大病院・消化器・移植外科), 杉本 光司(徳島大病院・消化器・移植外科), 斉藤 裕(徳島大病院・消化器・移植外科), 山田 眞一郎(徳島大病院・消化器・移植外科), 浅野間 理仁(徳島大病院・消化器・移植外科), 三宅 秀則(徳島大病院・消化器・移植外科)
抄録 【はじめに】Bevacizumab(Bev)が肝切除後に与える影響について、術後肝機能障害軽減と肝再生促進を有することを報告してきた(ASCO-GI 2011)。今回我々はBev投与後大量肝切除に与える効果の機序のひとつとして、Bevが小胞体ストレス応答を介して術後肝機能障害を軽減し肝再生を促進したという興味ある知見を得たので報告する。【方法】Wister系雄性ラット(6週齢, 180-230g)を用い、以下の2群(各n=5)に分けた。Group 1 : 90% hepatectomy (Hx) 群、Group 2 : 90%Hx + Bev(5mg/kg/week, 術前1週間前に腹腔内投与)群。検討項目は、(1) 小胞体ストレス関連マーカーmRNA発現 (HSP70、XBP1) を術前に、(2) 炎症性サイトカインmRNA発現 (IL-1β、TNF-α、MMP-2、MMP-9) を術後24時間目に、(3) 術後生存率を術後72時間目に評価した。【結果】(1) HSP70 mRNA発現は、Group 1と比較してGroup 2で有意にup-regulateされた(0.92±0.05 vs 1.23±0.14, P<0.05)。XBP1 mRNA発現は、Group 1と比較してGroup 2で有意にup-regulateされた(0.57±0.01 vs 1.00±0.27, P<0.05)。(2) IL-1β mRNA発現は、Group 1と比較してGroup 2でdown-regulateされる傾向を認めた(0.84±0.91 vs 0.22±0.27, P=0.11)が、TNF-α mRNA発現は、両群間に有意差は認めなかった(0.86±0.60 vs 0.66±0.81, N.S.)。MMP-2、MMP-9 mRNA発現はともに、Group 1と比較してGroup 2でdown-regulateされる傾向を認めた(MMP-2:281.39±345.51 vs 17.68±13.27, P=0.09, MMP-9:0.57±0.34 vs 0.40±0.08, P=0.15)。(3) 術後生存率は、Group 1と比較してGroup 2で生存率の改善傾向を認めた(50% vs 83%, P=0.09)。【結語】ラット大量肝切除モデルにおいて、Bevacizumabは小胞体ストレス応答を介して、術後肝機能上昇を軽減し、肝再生を阻害しない可能性が示唆された。
索引用語 Bevacizumab, 小胞体ストレス応答