セッション情報 ポスターセッション(消化器病学会)

肝臓(腫瘍)2

タイトル 消P-62:

診断に難渋した肝原発のPseudolymphomaの1例

演者 中田 伸司(長野赤十字病院・消化器外科)
共同演者 森 宏光(長野赤十字病院・消化器内科), 新城 裕里(長野赤十字病院・外科), 彦坂 吉興(長野赤十字病院・外科), 山本 浩二(長野赤十字病院・外科), 町田 泰一(長野赤十字病院・外科), 西尾 秋人(長野赤十字病院・消化器外科), 和田 秀一(長野赤十字病院・消化器内科), 清澤 研道(長野赤十字病院・消化器内科), 渡辺 正秀(長野赤十字病院・病理部), 袖山 治嗣(長野赤十字病院・外科)
抄録 症例は60代の女性で、既往歴には急性虫垂炎、帝王切開での手術歴、腎盂炎での治療歴がある。現病歴は無症状で受けた検診での超音波検査で肝腫瘍を指摘され、精査目的に平成23年8月当院を初診した。腹部CT、MRIでは肝S1/8に嚢胞性病変と接して早期濃染を示す20mm弱の腫瘤を指摘された。肝細胞がんを否定できず、手術目的に11月入院した。血液検査ではウイルス肝炎マーカーHbsAg、HCVAbは陰性で、血液、生化学検査に異常を認めなかった。ICG15分値は6%であった。腫瘍マーカーAFPは7ng/ml(正常<6)と上昇していた。腹部超音波検査では肝S1の嚢胞に近接して長径13mmの低エコー腫瘤を指摘された。内部は均一で、境界は比較的明瞭であった。同部のCTでは単純で等、造影早期で濃染し、後期でやや低濃度になる17mm大の腫瘤として描出され、MRIではT1強調画像で淡い低信号、T2強調画像で淡い高信号を示し、ダイナミックでは早期に染まり、後期に低信号となり、肝細胞相で低信号結節となる腫瘤と描出された。PET検査を行ったが有意な集積を認めなかった。病変は肝細胞がんと確定診断できなかったがその可能性を否定できなかった。T1N0M0 stageIの肝細胞がんの疑いで可能なら部分切除の方針で手術とした。平成24年11月に手術を行った。穿刺生検が困難であったので右のglisson鞘をよけて病変に到達し肝部分切除を施行した。迅速診断では肝細胞がんは否定的で、リンパ系腫瘍が疑われるとの返事であった。病変は肉眼的には14x9x8mmの灰白色の被包化された充実性腫瘤で、組織学的にはpseudolymphoma of the liverと診断された。悪性腫瘍を否定したため術後は経過観察を行っているのみであるが約半年の経過で新たな病変の出現なく過ごされている。また、背景疾患として報告が多い、他の悪性腫瘍の合併や自己免疫性疾患の出現も認めていない。
索引用語 pseudolymphoma, liver